テーマ:介護・看護・喪失(5314)
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「お宅のおばあさんお連れしました」
玄関で声がする。行ってみる。 タクシーの運転手が立っている。 「○○壮の○○号につれてってというので、おばあさんをお連れしたんですよ」 わけがわからない。家にはおばあさんは、母だけである。 そのときは、寝ていた。 運転手と話していて、はっとひらめいた。 ここに越して1年しか経っていない。 前に住んでいたおばあさんではないか。 自治会長さんに連絡してみた。 やはりそうだった。 引越し先に電話してみた。 そのままタクシーで送り返してくれとのこと。 でもかなりのタクシー代になるので、帰りはわたしが送っていくことにした。 母も同行させた。 二人の呆けばあさんが、車でしゃべっている。 聞いていて会話になっていない。 でも当の本人たちは気にせず話している。 戦争の話になった。 二人とも焼け野原になった、名古屋を知っている。 かなり盛り上がって話し込んでいた。 こんなに生き生きとしゃべる母を久しぶりに見た。 そんな二人を見ていると、とても呆けてるように見えない。 まだまだ達者な面もあるんだと、思い知らされた。 おばあさんの家に着くと、お嫁さんが迎えに来てくれた。 ご主人が今年なくなわれたそうです。 義母をその人が、介護してるのだそうです。 世間ではこんなケースもあるんだと知りました。 今回に似たケースをおじいちゃんから聞いていたので、不思議な気はしなかった。 自分の居場所がわからなくなって、ふともとのところに行ってしまったのでしょう。 うちの母もそうなるかもしれない。 しきりに謝るお嫁さんを制して、気にしないでといった。 わたしとそう年が違わないのに、ずいぶんやつれていた。 ご主人を無くされた上、義母までが痴呆になって、気苦労が多いのだろう。 お互い体を大事にして、介護しましょうといってきた。 奥さんの顔は、涙にくれていた。 また何かあるといけないからと、お互いの電話番号を交換した。 また介護仲間が増えた。 最近が介護をしている人と友達になることが多くなった。 何かそちらに引っ張られてる気がします。 誰かがそこにお前ができるものがあるんだと教えてくれてる気もします。 しばらくはその声にしたがってみます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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