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レビー小体型認知症介護日記

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2005.04.26
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カテゴリ:母との思い出
トレンドマイクロの、事件に憤慨しているころ。

いつも行く喫茶店で、お年寄りと話していた。
「こうも、大阪・神戸でいろいろいやな事件がおきる」
「やはり地震の影響かな?」
「まだなにかあるかな」
お年寄りの素直な感想です。

家に帰ると、母が興奮している。
「お兄ちゃん、あんたの住んでいたとこでしょう。伊丹って」
「私の大好きな、田辺聖子さんも住んでるよね」

テレビを見ると信じられない光景が。
一瞬テロかも、と思った。

でも次第にこれが脱線事故だとわかる。
10年前に、おきた地震で復興に協力させてもらった土地である。

しかも伊丹は私たちが、常宿した宿屋のある思い出の土地。
尼崎はよく遊んだ、ダウンタウンの生まれ故郷。

23人の死者とのそのときの発表。
地震のときと同じように、死者数の増加が予想される。

私が深い悲しみに襲われたのは、それだけではない。
地震を生き延びた方で、その傷がいえないまま、今回の事件で、尊い命を落とされた方がいるのだろうとの思いだ。

私が神の存在を疑う、瞬間だ。

母には、列車脱線事故での原体験がある。
高等女学校に通っているころの話。

母が通学で使っていた私鉄。
当時も今も単線です。

違うのは当時は、最高でも二両編成だったことです。
母の通っていた女学校の近くには、男子の通う高等学校がありました。

二両編成の先頭には、女学生。後ろには男子学生。
非常時には女子が身を挺して、男子を守る。
当時の社会制度を垣間見る、配慮です。

ある日母の学校帰りの電車。
母の故郷の駅に近づいたとき、ポイント切り替えが行われました。
新米の駅員がしたため、ポイントの切り替えのタイミングを間違えました。

「ボン・ボン・ボンと体が浮いて、そのうち列車が傾いたのよ」

そのとき偶然地方巡業に来ていた、お相撲さんが母のそばに何人かいました。

「夢中でお相撲さんの浴衣にしがみついたのよ」

当時は女学生が男子の体に触れる。
ご法度の世界でした。
でもそのお相撲さんはいやな顔もせず、母のするがままにしてくれたそうです。

列車は、脱線し傾きました。
皆が次々と飛び降りました。
母も飛び降りようとしました。
でも思ったより窓が高い場所にある。

自転車にも、乗れなかった運動音痴の母。
「足がすくんで飛び降りれなかったのよ」
同級生が励まします。
「○○さん、かばんをほかって。そうして思いっきり飛んで」
「もうじき列車が倒れるから、早くして」

それからの母は、どうなったか覚えていないそうです。
ただ無事だったのは確かです。
私がこうして生まれたのだから。







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Last updated  2005.04.26 07:12:48
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