テーマ:今日の出来事(292785)
カテゴリ:母との思い出
トレンドマイクロの、事件に憤慨しているころ。
いつも行く喫茶店で、お年寄りと話していた。 「こうも、大阪・神戸でいろいろいやな事件がおきる」 「やはり地震の影響かな?」 「まだなにかあるかな」 お年寄りの素直な感想です。 家に帰ると、母が興奮している。 「お兄ちゃん、あんたの住んでいたとこでしょう。伊丹って」 「私の大好きな、田辺聖子さんも住んでるよね」 テレビを見ると信じられない光景が。 一瞬テロかも、と思った。 でも次第にこれが脱線事故だとわかる。 10年前に、おきた地震で復興に協力させてもらった土地である。 しかも伊丹は私たちが、常宿した宿屋のある思い出の土地。 尼崎はよく遊んだ、ダウンタウンの生まれ故郷。 23人の死者とのそのときの発表。 地震のときと同じように、死者数の増加が予想される。 私が深い悲しみに襲われたのは、それだけではない。 地震を生き延びた方で、その傷がいえないまま、今回の事件で、尊い命を落とされた方がいるのだろうとの思いだ。 私が神の存在を疑う、瞬間だ。 母には、列車脱線事故での原体験がある。 高等女学校に通っているころの話。 母が通学で使っていた私鉄。 当時も今も単線です。 違うのは当時は、最高でも二両編成だったことです。 母の通っていた女学校の近くには、男子の通う高等学校がありました。 二両編成の先頭には、女学生。後ろには男子学生。 非常時には女子が身を挺して、男子を守る。 当時の社会制度を垣間見る、配慮です。 ある日母の学校帰りの電車。 母の故郷の駅に近づいたとき、ポイント切り替えが行われました。 新米の駅員がしたため、ポイントの切り替えのタイミングを間違えました。 「ボン・ボン・ボンと体が浮いて、そのうち列車が傾いたのよ」 そのとき偶然地方巡業に来ていた、お相撲さんが母のそばに何人かいました。 「夢中でお相撲さんの浴衣にしがみついたのよ」 当時は女学生が男子の体に触れる。 ご法度の世界でした。 でもそのお相撲さんはいやな顔もせず、母のするがままにしてくれたそうです。 列車は、脱線し傾きました。 皆が次々と飛び降りました。 母も飛び降りようとしました。 でも思ったより窓が高い場所にある。 自転車にも、乗れなかった運動音痴の母。 「足がすくんで飛び降りれなかったのよ」 同級生が励まします。 「○○さん、かばんをほかって。そうして思いっきり飛んで」 「もうじき列車が倒れるから、早くして」 それからの母は、どうなったか覚えていないそうです。 ただ無事だったのは確かです。 私がこうして生まれたのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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