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カテゴリ:今日の音盤
すっかり涼しくなってきました。夏掛け布団では明け方などは寒いくらいです。
引越し先にはすっかりなじみました。駅前は割りと開けていて買い物に便利、マンションの周りは適度に田舎で静か、理想的ですね。日が当たらない部屋なのが玉に瑕ですが。。。ベランダに出ても目の前が団地で空が少ししか見えません。夕焼けが綺麗なはずなのに、ほんのわずかに見える空の色から想像するしかありません。 ホルストの「惑星」と言えばいまやすっかり有名曲ですが、1960年ぐらいまではボールトとストコフスキー盤ぐらいしかなく、イギリス音楽マニアに知られている程度でした。ブレイクのきっかけは1961年のカラヤン指揮ウィーンフィル盤。ぐいぐいと前に進んでいく火星から興奮度満点、神秘的で美しい海王星までひとつのオペラような演奏です。 これに続いて日本中が熱狂したのは1977年、冨田勲氏のシンセサイザーによる「惑星」でした。 冒頭のオルゴールによる「ジュピター」の旋律からロケット打ち上げの場面、そして「火星」の音楽へつながっていくともうすっかり音だけによるドラマの世界に入っていきます。ここでの「火星」は戦争の暗喩ではなくロケットで宇宙に旅立つ勇気と不安を描いています。 「金星」は無限の宇宙空間に木霊するローレライの歌か。ホルンの夢見るような旋律が女性のヴォカリーズに置き換わっています。そのはまり具合や良し。「水星」はぴょんぴょん跳ねる宇宙生物たちを想像させ、「木星」でいよいよ目的地に着陸、ノイズ交じりな母星との交信に距離感を感じさせるあたりの芸の細かさ。しかしここでトラブル発生(嫌な言葉だなぁ)! 気が付けば全てが凍りついた絶対零度の世界。「土星」が異次元空間を演出します。続くはずの「天王星」は「海王星」が徐々にオーバーラップして融合してしまいます。神秘の旋律を再びローレライが歌います。ロケットのパイロットが夢なのか死なのかわからない世界に誘われ、遠いかなたへと去っていく。 冒頭のオルゴールが再び聞こえてくるが、ゼンマイが切れて止まってしまうとき、我々は何ともいえない感動に襲われます。。。。 冨田盤は日本中で売れに売れたばかりかアメリカビルボードでも首位を勝ち得、「世界のトミタ」と称されるようになりました。私はちょうどクラシックを聞き始めた頃、友達の家で聞かされかっこよさとストーリーに感激した覚えがあります。ただそのときは原曲を知らなかったので、ずっと冨田さんの曲だと思っていました。 今年あらためてCDで聞いてあの頃以上に感動しました。 人の想像力の素晴らしさ。音楽が持つファンタジーの無限さ。 冨田さんは決してホルストの原曲からおいしいところだけ切り取った安易な編曲にしていません。むしろ原曲に対して敬意を払い、その魅力を彼の想像力をもって語っているんだと思います。私はそこに冨田さんの音楽への愛を感じてなりません。でなければ、世界がトミタを歓迎するはずがないじゃないですか。 惑星/冨田勲[CD] トミタの作品第4弾にして超ベストセラー。今聞いてもすごいね。 ホルスト:惑星 / カラヤン ブームの火付け役、カラヤンVPO盤。絢爛豪華で劇的な演出。ウィーンフィルはうまい。 ホルスト:組曲《惑星》/小澤征爾[CD] もちろんわれらが小澤さんも録音してますよ。発売当初の売り文句「ああ、なんとパワフルでビューティフルなのだ!」(笑)。当時はこんなコピーまでつけてたんです。今とは大違いだね。演奏はコピーどおり、素晴らしいバランス感覚で響きの美しさ(海王星の浮遊感がいい!)は今もってトップクラスでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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