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京都の左京区北白川に、彫刻家であった父が残した家。
平屋の古い日本建築と、それに連なる典型的な二階建ての洋館“緑影荘”。 退院した飛龍想一は、母と呼ぶ叔母と共にほぼ30年振りにこの家にやってきた… 玄関の戸の壁際の暗がりに、廊下奥の片隅に、突き当たりの角に、彼女らは居る。 あるものは片腕がなく、あるものは片脚がない。下半身がないものも。 全てに共通して“顔”がない。衣服をまとわぬ白いマネキン人形たち。 雪の夜、この家の内庭で、桜の木に首を吊って自殺した父。 父はいったい何の為に人形を置いたのか? 想一の周りで起こる不可解な出来事。 近所で続発する児童連続殺人事件。 “緑影荘”の怪しい住人たち。 気難しい小説家、盲目のマッサージ師、鼠を追いかける大学院生・・・ 綾辻行人。この人を読むのを忘れてました。 【館シリーズ】の4作目!(やっとこさ) のっけから、雰囲気がある。何かが起こりそうな予感(もちろん起こる!)。 今回は、たくさんの人形がある館。街中という舞台も意味深い。 この設定に、建築家・中村青司、探偵・島田潔の名前が絡んだならば・・・ うう。これもかなり評価が分かれそうな作品。 それくらいこのトリック?は意表をつきます。シリーズものにこれを持ってきたのは本当に凄い、というか卑怯な気もする(笑)。もちろん【あり】だと思います。“やられた感”はかなりありますが、騙された爽快感みたいなものとはちょっと違う。発表されたときはかなりの反響があったことでしょう。このあたりの挑戦の仕方は流石です。 でも今のところ、私が一番すきなのは『水車館の殺人』だったりします。 (これがイチオシの人は、あまりいないかもしれませんが) 身体の一部が欠けた人形からの連想で、 島田荘司『占星術殺人事件』への言及があるのもうれしいです。 『人形館の殺人』 綾辻行人 講談社文庫(1993年5月第一刷発行) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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