カテゴリ:短歌
栗木京子選の入選と佳作から、私の注目した歌にコメント。 通気孔破り勝手に出入りせる雀よ われはほとけにあらず選者評には、「雀に悪意はないものの住人にとっては迷惑である。結句に作者の困惑とやさしさがにじみ出ていて、共感を覚えた。」とある。私の感想も全く同じ。(^^) このミスは君の宝と始末書を破る上司に涙流しき涙を流したくらいだから、かなりでかいミスだったんだろう。作者はこのミスから非常に多くのことを学んだのだろうと思う。だからこそ上司は破いた。 妹と人形遊びの約束を破った後のさみしい空気作者は9歳だという。KYな大人とちがって、空気が読めるのね。心を「空気」という言葉にできた点が素晴らしい。 週一日禁酒するなど亡き母に誓ひしことを破り破り老ゆ「破り破り老ゆ」という言葉に味わいがある。ま、みんなそうやって思うようにセルフコントロールできずに老いていくのかも・・・。(^^ゞ 指先で破きし障子の覗きあな 眠りを知らぬ母がはたらく子供の頃の思い出の歌ではあるまいか。破く方は遊び半分でやっているのだが、そこから見えるのは遊びとはほど遠い母の姿。心に突き刺さるものがある。 「重い歌である。単に嫌ならば最初から「否」であろうが、「望」と書いて親のことを思って「否」とするが、非国民扱いされて親の肩身が狭くなるかもなどと考えて再び「望」と書いたのかもしれない。自分の生死は二の次であるにもかかわらず、周囲のことを考えると、やはり迷ってしまう。そんな人々もいたのではあるまいか。もちろん、社会的には「望」と書くべきと思っていてもやっぱり自分が死ぬのが嫌で一度「否」と書き替えたと解釈するのが一般的なのかもしれないが。 缶珈琲両手でぎゅっと暖めて静寂破る産声を待つなにやら妻の無事の出産を祈りつつ待つ夫の様子がリアルに表現されているように思える。 言葉の破片あつめて幼は話し来る やはらかき身をわれに預けて“言葉の破片”がとてもいいなと思う。幼児は、うまく文にならないのだが、言いたいことがたっぷりあったりするのだ。だから知るかぎりの言葉をかきあつめて話そうとする。案外“やはらかき身”そのものが、その知らせたいことを伝えているのかもしれない。 《『NHK短歌』のホームページ》 人気blogランキング ↑この記事が面白かった方、またはこのブログを応援してくれる方は、是非こちらをクリックしてください。 「p(^o^) 和の空間」の Window Shopping |
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