大阪の弁護士です。平成21年4月22日(水)
被告(ロプロ)から第1準備書面が提出されたので,公開します。なお,この準備書面は,前回と同様,大阪の弁護士がワープロ打ちをしたものなので,誤字脱字のある場合があります。ご容赦下さい。また,段落などの構成や丸数字も,ブログにする際に崩れてしまっています。ご容赦下さい。この準備書面について,大阪の弁護士は,感じるところがあるのですが,それについては,追って,私の準備書面で明らかにし,余計な評価は加えないでおきます。評価は,皆さんにお任せします。
「被告第1準備書面
上記当事者間の頭書事件について、被告は、以下のとおり、弁論を準備する。
1.原告代理人の訴訟活動について
(1) 原告代理人は、本件の争点である不当利得返還請求権の存在を基礎づける金銭消費貸借取引の経緯について立証するのではなく、そのような取引経緯とは関係のない差押調書とか新聞記事などを証拠として提出しているが、かかる訴訟活動は、裁判所の審理に無用な心理的影響を与えようとするものであり、相当ではないように思われる。
(2) また、原告代理人は、準備書面において、資産を簿外処理しているなどと被告の信用を毅損する記述を行っているが、準備書面での記述でも名誉殿損となるものがあることは、東京地裁平成18年3月20日判決などでも認められていることであるから、軽率な行動は慎んでいただきたい。
(3) さらに言えば、原告代理人は、本件での準備書面を弁謹±名を表示することなく、プログで公開して、被告に対する同種事件を自らに依頼するように勧誘を行っているようであるが、これは、日弁連の「弁護士の業務広告に関する規程」第3条7号の「弁護士の品位又は信用を損なうおそれのある広告」あるいは、同第4条4号の「過去に取扱い又は関与した事件」を表示した広告、同第9条の広告をした弁護士の表示の義務づけに違反しているのではないか。また、このようなブログによる事件勧誘は、弁護士職務基本規程第10条によって禁止されている「品位を損なう方法による事件の依頼の勧誘」に該当する疑いが極めて強いものである。なお、この弁護士職務基本規程第10条は、1日弁護士倫理第11条と文言が同じであり、広告規制が緩和された現在でも同様に規制されているものである。
(4) 以上の原告代理人の言動については、被告としては、大阪弁護士会の市民相談窓口に苦情として申し立てているところであるが、今後も続くようであれば、手順を追って、次の手段を執らざるを得ないので、そのような事態に至らぬように、任意に改めるよう、要望する次第である。
2.被告の会計処理などに何らの問題もないことについて
(1) 被告は上場企業であり、一般投資家から投資を受けていることから、監査法人による厳しい会計監査を受けており、その監査報告は、有価証券報告書として、証券取引所に報告しており、この報告の際には、経済記者にも報告していることである。監査法人の監査報告は厳しいものとはなっているが、不正な経理をしているなどとは指摘されていないから、不正経理があるなどと原告代理人から指摘されるいわれはない。不正経理があるなどとの主張は、監査法人の信用にも関わることであるから、早期に撤回されたい。
(2) また、原告は、被告からの顧客の送金が支店長名であることをもって第三者名義の口座を使用しているとか、簿外処理をしているとか、資産を隠蔽しているなどと断定しているが、かかる断定は、弁護士として軽率に過ぎるのではないか。被告は、いわゆる商工ローン業者であり、銀行などが融資を渋るような業者の資金需要に応じて資金を融資しているところ、商工ローンからの融資が取引銀行に判明することで取引銀行からの融資が厳しくなったり、返済を迫られたりする顧客もあることから、被告名義での送金はしないようにとの顧客からの要望が強いため、被告としても、その要望に配慮して、支店長名で送金しているものであり、借名口座を利用しているわけでは決してない。しかも、これは、被告の創業当初から今日まで続いていることであり、最近になってそのような行動をしているわけでもない。史上空前の利益を計上していた頃も、上記のとおり、顧客の要望に配慮して支店長名で送金していたものである。被告は、いわゆる日栄・商工ファンド対策弁護団が結成される前から、消費者保護に熱心な弁護士との間で、沢山の訴訟を抱えて、論争も繰り返してきたものであり、いわゆるロプロ事件最高裁判決も、これらの沢山の主張の積み重ねの結果としてうみだされたものであるが、支店長名での送金については、同弁護団からさえも問題とされたことはない。ましてや、本人確認が厳しい現在、借名口座の利用などあり得ないことであり、送金は支店長名で行っているだけで、しかも、いずれも実在する支店長である。かかる送金をもって、第三者名義のロ座を使用しているとか、簿外処理をしているとか、資産を隠蔽しているなどとする主張は、弁護士として軽率に過ぎると言わざるを得ない。
(3) ましてや、上記支店長の実名を準備書面で取り上げる必要はないはずである。それどころか、原告代理人は、これらの実名をプログで公開している.これは、上記支店長の名誉を侵害する人権侵害行為であるから、早期にプログを閉鎖するなど、対応を改められたい。
(4) 次に、原告代理人は、被告が原告に対して厳しい取立を行ったごとく主張しているが、原告は、原告代理人が被告との交渉を担当するという連絡を受けた後の平成21年3月17日に手形を資金不足を理由として不渡にして支払を停止しており、被告からは原告との間で直接の取立交渉を行ったわけではないから、被告が厳しい取立をした事実はない。なお、弁護士が代理人として交渉担当することを連絡する場合には、債務者本人の利益を考えて、手形を取立に回すことを停止するように要求するのが通例となっており、被告としても、弁護士からの依頼があれば手形を取立には回さないし、過払が問題となる可能性がある案件については、必ず弁護士の意向を尋ね、その意向が確認できない場合には取立には回さない取扱としているため、被告の交渉担当者としては、原告代理人にその点を確認しているが、同代理人は不渡の発生はやむを得ないとして、取立に回すことを了承していたものであるから、被告において、上記弁済日の返済を強く求めたわけでもない。以上の次第であるから、原告代理人は、被告が原告に厳しい取立をしたわけではないことを自ら経験しているのであるから、何故に、被告が厳しい取立をしたなどと主張されているのか、大いに疑問である。いずれにしても、これも根拠なく被告の信用を殿損する主張であるから、早期に撤回されたい。
(5) また、被告としては、過払金の返済について、妨害的な行動をしているわけではない。業務を継続しつつ、返済を続けるためには、支払時期を延ばしてもらうとか、分割にしてもらうしかないため、そのようなお願いをしているだけである。
本年1月には予期しない資金不足が生じたため、-部の分割払の分割金の支払を遅滞してしまったわけであるが、現状では、その分割金の支払は再開しているところである。被告としては、債権者平等にも配慮する必要があり、-部の債権者だけが満足を得るようなことになる事態は避ける必要もあるのである。このことは、企業再生に関わった法曹関係者であれば、当然おわかりいただけるはずである。それを資産隠しをしているなどと非難されるいわれはない。被告が過払金の支払について真撃な対応をしていることは、有価証券報告書にも記述されているとおり、同業他社と比較した引当金の比率の高さをご覧いただければおわかりいただけるはずである。また、被告としては、過払金の支払に可能な限り応じるべく、これまでも合理化に努めてきて、人員や店舗の削減をしていたところであったが、現在もなお、その速度を速めており、平成19年3月末には、804名の従業員がおり、店舗数が66であったものを、平成20年3月末には、従業員数384名、店舗数21となり、平成21年3月16日現在は、従業員数129名、店舗数は3となっている。代表取締役であった松田龍一も責任を取り辞任している。被告が抱えている債務のほとんどは、過払金返還債務であるが、その支払のために上記のとおりの合理化に努力していることは、有価証券報告書などでもすぐに確認できることである。ちなみに、原告代理人が実名を公表している支店長たちは、この合理化の一環として、早期退職していただいた方々である。その方々にも家族もおられることを考えると、そのような方々に鞭を打つような原告代理人の対応には、被告としては許容しがたいものがあることは、裁判所にもぜひご理解いただきたいと考える。いずれにしても、資産隠しがあるとすれば法人税法や有価証券取引法に触れる犯罪行為があるとということとなるが、他人が犯罪を犯しているという指摘を然したる根拠もなしに軽率に行うことは、名誉殿損に問われるおそれが極めて高い行為である。ましてや、弁護士という法律の専門家がそのような軽率な行動を行うことがどのような意味を持つのかということについては、原告代理人としても慎重に考えられるべきではなかろうか。
(6) なお、被告が原告代理人から差押を受けたことは確かであり、そのことについては、申し訳ないことではあるが、だからと言って、原告代理人のように、被告の信用を毀損するような主張を行うことが許容されるということにはならないはずである。
(7) 被告としては、行き過ぎた取立が社会的に指弾されてからは、全社を挙げて、コンブライアンスの遵守に努力し、実際、取立行為などについて、金融庁にクレームが生じることはほぼなくなっているものであり、そのことは、金融庁に問い合わせていただければ、すぐにわかることであるし、この改善の態度については、上記弁護団からも一定の評価をいただいているものと考えている。しかるに、原告代理人は、被告が未だに同様な違法行為を行っているかのどと<主張しているわけであるが、そのようなことを示すような資料はないはずである。実際、そのような問題は、全社を挙げた取組でなくなっているからである。つまり、原告代理人は根拠なき信用段損行為を行っているわけである。かかる主張は、早急に撤回されたい。
(8) なお、原告は、被告において、前役員に対して報酬の返還を求めるべきであるなどとも主張しているようであるが、弁護士としての主張である以上、これがどのような法律構成に基づくものであり、被告として、なぜ義務づけされるのかということは、明らかにされるべきではなかろうか。そのような法律構成も明らかにされないままに、被告に法的な義務があるかのどとく軽々に主張されることには疑問がある。
(9) 以上の次第で、被告としては、原告代理人に慎重な対応を求めるものである。
3.なお、被告としては、取引の経過について認めているわけではない。答弁書にも、「原告の利息充当計算に関する主張は、悪意の不当利得の問題を含めて、これを争う。」と明確に指摘しているものである。貸借関係の数値も含めて、原告の計算には疑問があるが、細かな数字のずれや計算違いなどについて、確認ができていないだけのことであるから、誤解ないようにしていただきたい。
以上」
以上が,被告(ロプロ)代理人が書いた準備書面です。
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南森町佐野法律特許事務所
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