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カテゴリ:山川草木国土悉皆成仏
我が工房では時々白大島と言っても絣の入ったものですが、それを染める事があります。
奄美大島で大島紬の生産会社から直接依頼を受けるのです。 以前は西陣の産地問屋から縦ぼかしや友禅で訪問着を染めたりしていました。 既にその産地問屋は廃業していますが、大島の生産会社は今なお頑張っています。 大島紬は「大島三代」とか「大島は女中に着せろ」と言われます。 「大島三代」と言うのは文字通り三代に渡って使えると言う意味、「大島は女中に着せろ」と言うのは大島は高価なので女中が居る家庭の奥様用、女中に着せて使い倒してこなれてから着ると言うもの。 それだけ丈夫だと言う事。 水をくぐる毎に着易くなると言います。 私の家内も着るものに迷ったときは縦ぼかしの大島を着ます。 それだけ着ていて気持ちが良い訳です。 裾さばきの気持ち良さは他のものでは味わえません。 私も大島のアンサンブルをもっていますが、気持ちのいい事は間違いありません。 三代に渡って着られると言いましたが、実際にはちょっと無理があります。 と言うのは昔の大島は短尺で生地巾狭めが普通だったからです。 古着を預かって解くと揚げが殆ど無いのが普通です。 当然なのは全て手織りだから、手間が無茶に掛かるから。 ところが現在はその批判が届いたのか女物でも生地巾は1尺5分は当り前、生地の長さも丹後縮緬顔負けが増えてきました。 まるで男物の様です。 白だけでなく普通の大島(無茶に高価な)を仮絵羽し、位置付けに金加工をするなどしましたが、何故か後ろめたさを感じます。 手織りの珍品を汚している様な気分。 そんな話を生産会社の社長と話をしていた数日後、お客様のご主人から男ものの大島を依頼されました。 そのご主人は生地巾が1尺1寸が必要だとの事。 社長に問い合わせるとそんな生地巾は別織りしないと手に入らないのだとか。 通常、1尺7分だと。 お客様のご主人には、それしか手に入らない事を納得して見に来て頂きました。 ところが奄美から届いた大島は生地巾が全て1尺1寸以上あります。 大島の産地で言う生地巾は絣の切れ目から切れ目の間、耳の部分が生地巾に入っていなかったのです。 お気に入りを気持ちよく選んで頂きました。 話は大島の産地に移りますが、大島の生産業者は一軒のチェーン店に振り回されているそうです。 大島に携わる人は激減、生産出来る古くからあった定番柄も少なくなってきたとか。 そんな中で唯一そのチェーン店だけが力を入れてくれているからだとか。 しかし、接待や価格の引き締めで青息吐息。 呉服の生産現場は日本中どこも似たり寄ったりになってきました。 今日来た奄美出身の従兄弟の子は元々糸関係、奄美での大島紬の商い額は最盛期の3%になったと言っていました。 30%と違いますよ、3%ですよ。 一軒の問屋の商うだけの額になったと言います。 大げさと言っても近い筈、こうなると悲惨ですね。 売れないと良い物が出来ない、出来ないと売れない。 スパイラルに陥った様です。 その中でも何とか良い物を残そうと頑張っている人達も居ます。 消費者はそれを見捨てず、応援して欲しいものです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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