白土三平さんの訃報
漫画家 白土三平さんの訃報記事が10月27日の朝刊に大きく載っていました。今月8日に誤嚥性肺炎でお亡くなりになったそうです。89歳。 また、弟の岡本鉄二さんも後を追うかのように12日に亡くなったとか。 岡本鉄二さんは「カムイ伝」の後半くらいの時期から白土作品の作画を担当して、その画力は天才的で素晴らしいものでした。 白土さんの代表作とされる「忍者武芸帳 影丸伝」を初めて読んだのは中学2年の時の「ゴールデンコミックス版 全12巻 定価220~240円」(小学館)です。 白土三平さんの作品はそれ以前の小学生の時に「少年」の「サスケ」が初めてだと思います。記憶にあるのは「サスケ」の前半部分で、ピラニアがいる沼にあるヒスイの話とか、服部半蔵とかコケシ人形とか、忍者四貫目が投げる無角というドングリ状の武器。現在に改めて読むとそれらの前半は面白いのですが、後半になると階級闘争が描かれ陰惨になってしまう。このテーマはのちの「カムイ伝」に引き継がれたようで、なので「カムイ伝」も私の好みではありません。「忍者武芸帳 影丸伝」でも武士と農民という階級がはっきりと区別され、武士による農民搾取、弾圧と虐殺が描かれる。戦国時代には武士と農民という階級区別はなく、武士イコール農業経営者であるという現代の歴史の見方ではテーマそのものが否定されてしまうのですが、単なる忍者や剣豪のマンガとして読めば、影一族と明智十人衆との戦いなど、「忍者武芸帳 影丸伝」は充分におもしろく、これを超える忍者マンガはないだろう作品です。 以前にも書きましたが、小学生の時に「少年ブック」で読んだ「シジマ」という短編作品。甲賀七つ石のトネという女忍者が水浴する場面に胸をうずかせた記憶。当時の少年マンガには珍しいエロチックなものを感じました。この作品は「忍法秘話 第3巻 シジマ」(小学館双書)に収録されていて、今の目で読んでも白土三平さんが描く女性キャラは魅力的です。 青年誌「ビッグコミック」が月刊誌だった1年間(1968年4月号~69年3月号)にビッグな作家として載った、手塚治虫、石森章太郎、さいとう・たかを、水木しげる、横山光輝さん、そして今、白土三平さんが。 私が夢中になって漫画を読んでいた昭和の時代の、そして人生に大きな影響を与えられたと思う、ビッグな漫画家が皆さんお亡くなりになってしまいました。