テアトル・エコー『風と共に来たる』
少し前に観たのだけれど…、テアトル・エコー『風と共に来たる』作 ロン・ハッチンソン(初演2004年シカゴ・グッドマン劇場)訳・演出 酒井洋子デイヴィッド・O・セルズニック(プロデューサー) 安原義人ベン・ヘクト(脚本家) 多田野曜平ヴィクター・フレミング(監督) 後藤敦ポッペンガル嬢(秘書) 太田淑子 エコーの舞台は何度か観たことがあるのだが、久しぶり。映画『風と共に去りぬ』の製作裏話をもとにした作品。劇団きってのベテランの役者さん達の熱演に圧倒された2時間だった。 撮影をはじめたものの、脚本と演出が気に食わなくて、プロデューサーのセルズニックは監督も脚本家もクビにしてしまう。新しい監督はヴィクター・フレミング。脚本家は早書きで有名なベン・ヘクト。この二人を自分のオフィスに監禁!し、バナナとピーナッツだけで新しい脚本を完成させようとする。ところがベン・ヘクトは原作を読んでいなくて内容も登場人物もまったく知らなかった...!なので、セルズニックとフレミングがベン・ヘクトの目の前で原作を実演しながら、脚本を書き進めていく。 (お歳を忘れてしまうほどの!)アクションをたっぷり交えての膨大な量の台詞。これがすごいったらない。すごすぎる。 コメディなので、ボロボロになりながらの悪戦苦闘を単純に楽しんでもいいのだけれど、中に織り込まれた映画や社会に対する思いや、自分たちがユダヤ人であることなど、ぐっと考えさせられる部分がなかなか渋い。 ベン・ヘクトが最後のシーンのスカーレットの台詞に、こんなんじゃ映画のラストシーンにならないと怒るのだが、ここが私にはすごく印象に残った。問題のスカーレットの台詞は、After all, tomorrow is another day.というもの。 新潮文庫の大久保康雄・訳では、「明日は明日の風が吹く」だそうだが、作者の酒井さんは、原文通り「明日は明日、また別の一日」と訳している。 ベン・ヘクトは「そんなん、あたりまえじゃん!」というのだ(^^)。 原作を読んだ時も、映画を観たときも、それほど印象に残っていなかったようなこの言葉が、なんだかとっても心に響いた。そして力づけられた。 久しぶりに『風と共に去りぬ』を読んでみようか、観てみようかという気持ちになった。 出演の役者さんたちは声優としても活躍している方々。初代のひみつのアッコちゃん、『リボンの騎士』のサファイヤをなさってたのが、秘書役の太田淑子さん。なんだか感激だ~。歳がわかるな(^^;)。