フレデリック・バック展
『木を植えた男』のフレデリック・バック展へ。『木を植えた男』というアニメーションがアカデミー賞を受賞したことは、なぜか強く記憶に残っているのだが、その内容は微妙に曖昧な私。この作品を絵本で読んでとてもとても良かったという友人に誘われ、久しぶりに東京都近代美術館へ。調べてみると1999年に『荒木経惟 センチメンタルな写真、人生。』を観に行って以来だ。 さて、バックがなんと2歳の時に書いたという小さなピエロの絵に始まり、まるで目に入るもののすべての瞬間を描いているのでは、と思わせる膨大な数の作品。芸術というよりは観察に近いような。後のアニメーションにつながる一こま一こまのようにも感じる。1000点にも上る展示数だそうだが、なぜか不思議と負担に感じない。たぶん、それを受け取る側の立場に立って描かれた作品だからだろうか? アニメーションの創成期からの流れのわかる展示は、技術的な面の進歩を目の当たりに感じられ、すごく興味深かった。というか、私など初期の頃のアナログなアニメにかすかな記憶が(*_*;。懐かしい!『木を植えた男』では、普通の2倍という1秒間に8枚のセル画を使用したとのことで、そのすべて(いったい何枚になるんだ)をほとんど一人でなんと5年半も掛けて描いたというからすごい。アニメーション界の至宝といわれるのももっともだ。そして、多分一番最近の作品かな、と思われるのが、マリという老犬のスケッチ。 ところで、今日現代美術館へ足を運んだのにはもうひとつ理由があって、それは、「フレデリック・バック展」開催記念 特別イベント朗読劇"木を植えた男"~ 人形劇俳優 平常(たいら・じょう)による 人形劇、というと子供向けのイメージがあるけれど、この方、それだけにとどまらず、寺山修司や泉鏡花なども題材に舞台を創る人。http://tairajo.com/jo.htm人形とのパフォーマンスの後に『木を植えた男』の朗読劇。あっという間の60分。人形劇「俳優」と自らを表すのが、よくわかった。人形を遣う技術だけでなく、発声、演技、ダンスなどで訓練された彼自身の体のパフォーマンスにも圧倒された。無料のイベントなどではもったいない。是非、どこかで再演をしてほしいと思う。 それにしても同じ物語でも、目から入ってくるのと、耳から入ってくるのでは、こうも違うのかと、朗読というものの魅力を改めて感じた。