2013/06/18(火)00:06
虎は死して皮を留め
6月15日、人間国宝14代目・酒井田 柿右衛門が死去した。
「虎は死して皮を留め、人は死して名を残す」と云うけど、
彼ほどの芸術家の死去は、彼の残した作品の価値を上げるということで、
14代目・酒井田 柿右衛門は名とともに皮をも残した。
17年位前、作陶にガンバリ始めた頃に何か逸品を手元に置いて励みにしたいと思い、
中区紙屋町にある某デパートの「14代目 酒井田 柿右衛門展」に行った。
展示場を一回りして、
かき集めれば、なんとか成りそうな金額の小さな茶碗に目が止まった。
その茶碗の前で再度立ち止まって、しばしそれを眺めていると、
どこからともなく女性店員が寄って来て、耳元でささやいた。
「お値段はご相談に乗りますよ・・・」と。
思い切って跳んでみようかと思ったが、
当然にカミさんと一戦を交える・・・という覚悟ができなくて、
後ろ髪を引かれる思いでその場を去った。
茶碗の価格は15万円前後だったと記憶している。
果たして、
これを手に入れていたら、今頃はニンマリとほくそ笑んでいたかもしれないが、
同時に作陶の腕が上がっていたかは、はなはだ疑わしい。