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2007.06.16
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カテゴリ:小説
迷路…いったん入ると、入口も出口も、方角さえもわからなくなるような道
迷宮…簡単には出口がわからないように作った宮殿。

広辞苑から引用しましたが、この本はまさに、言葉で迷宮を作ったらこうなったと言えるような、とてもおもしろい短編集です。

    

一つ一つの物語は独立していて、完結しています(いや、これを完結と呼んでいいのか?って気もするけど)が、どこかがちょっと次の話につながっている。という手法は、別に珍しいものではありませんね。
だけどこの短編集のように、登場人物が複雑に入り組み、できごとも人の気持ちもずれたり重なったりして何度も去来して読者を酔わせるのは、あまり例がないのではないでしょうか。このへんがまさに、言葉で出来た迷宮のようだと、私は感じました。
そして、どの物語も少しずつ死の匂いとつながっていることから、「寡黙な死骸 みだらな弔い」という一風変わった題名になっているのでしょう。この題名の短編はないのです。
後になって考えると、短編集のようでありながら、これはよく練られた長編と呼んでもいいのかもしれません。この本にこんな題名をつけたというところがまた、さすが小川洋子さんだという気がしました。



本は、私たちの心を激しく揺さぶったり、静かに打ち震えさせたり、遊園地のように楽しませてくれたり、あるいはこの本のように夢幻の世界に迷わせてくれたり、なんておもしろいものなんだろう。扉を開いただけで、一瞬のうちに私たちをどこか遠いところに連れ去ってくれる。
もっとおもしろいと思うのは、本を読んでいる本人を外から眺めても、ただ静かにページをめくっているだけ。読んでいる本人にしか、心がものすごく動き回っているってことがわからないということ。

そんなようなことが、小川洋子さんの「物語の役割」に書いてあったような気がします。
「ネバーエンディングストーリー」の少年も言っていたような気がします。





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Last updated  2007.06.17 06:30:02
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