カテゴリ:山とスキーの道具
テレマークが上達するには何年も時間と労力がかかりますが、道具を買い換えるのは簡単で、しかも初心者でも大きな違いが感じられて楽しめます。
ということで前回に続き、今シーズンから使う予定のNTN規格のビンディングについてです。 前回取り上げたボレーTTSは、オリンパスマウンテンギアのTTSやB&Dのアダプターを使ったTTSとテックピンのメーカーは違うものの、基本的には同じ構造なので、まあ、乗り味も大きく違うことはないと思うのですが、NTNフリーライドやフリーダムは全く構造が違うので、乗ったことのない人間にはどんな乗り味か想像がつきません。 75ミリのビンディング全般と比べて硬い、という話はよく聞きます。 75ミリのワイヤービンディングが踵にレバーを掛けて固定するのに対し、NTNでは土踏まずの前側あたりで固定するので、踵を持ち上げる時の支点と力点の距離が短くなり、当然、同じスプリングレートなら固くなるというのは分かるのですが、スプリングの位置も影響しているようです。 また、75ミリビンディングのコバの形は、ビンディングメーカー、ブーツメーカーごとに微妙に違うらしく、ビンディングのトゥーピースとブーツのコバの間には1ミリから2ミリくらいの隙間がどうしてもできてしまうようです。 相性のいいメーカー同士ではピッタリするみたいですが、ソールが減ってくれば当然、上下方向のクリアランスは増えてきます。 長く使っていると慣れてきて、その遊び自体が乗り味のような気分になってきます。 実際に75ミリ規格のブーツをビンディングにセットしてブーツを左右に動かしてみると、けっこうガタがあることがわかります。 ビンディング自体に1ミリも遊びがあれば、ベースエッジの0.5度の変化なんて判らなくなってしまいそうです。 それに対してNTN規格ではトゥーピースの遊びを極力抑える構造になっていて、実際、装着してブーツを上下左右に揺すってみても、ほとんどガタがありません。 師匠によると、NTNフリーライドは「数あるテレマークビンディングの中で最もリジッド」だそうです。 それは、TTSに使われるテックピン機構に関しても同様で、ブーツの両側を直径5ミリのピンを使って点で固定してしまうのですから、大きなガタが出る余地がありません。 初めてモリちゃんにオリンパスマウンテンギアのTTSを試乗させてもらった時、そのダイレクトな乗り味に感動したのを覚えています。 (個人的には、BCクロカンのNNNBCもビンディング自体に遊びがなくて好きです) 師匠の話によると、NTNフリーライドには他にもいろいろな利点があるらしいのです。 そこで、NTNビンディングの元祖であるロッテフェラーNTNフリーライドと、その軽量モデルであるフリーダムを、師匠のお勧めに従って購入してみました。 それらのビンディングを乗せる板は、師匠から中古で購入したダイナスターのシャム97とロシニョールのスープレスパワーです。 当初は、NTNフリーダムをシャム97に、フリーライドをスープレスパワーに取り付ける予定でしたが、フリーライドに関しては、数年前にモリちゃんに譲っていただいたK2のワールドピステに取り付けることにしました。 ワールドピステは、ここ数年、ゲレンデで一番使用している板なので、乗ったことのない板に乗せるより、ビンディングの違いを比較しやすいと思ったのと、私が購入したNTNフリーライドは初期モデルなので、付属するプレートが金属製の4穴対応タイプだったため、師匠がスープレスパワーに開けていた現行の6穴がそのまま使えなかったからです。 ここからは取り付けの話です。 まずは、NTNフリーダムです。 これは、前述の通り、シャム97に乗せました。 もともと師匠がフリーダムを付けていたので穴あけ加工の必要がなく、取り付けは簡単でした。 ビスの緩み止めはいつものようにコニシボンドのエポキシ樹脂接着剤90分タイプ、Eセットを使用しました。 少し悩んだのは、ヒールピースのカバーが片側だけ、なぜかしっかり嵌らなかったことです。 結局、プラハンで軽くコツんとやったら、簡単に嵌まりました。 それにしても、片方11箇所で板に固定するテレマークビンディングというのは初めてで、見た目にも剛性が高そうです。 このシャム97は、ソールやエッジは有名ショップでチューニング済みとのことで、新品の板に乗せるより手間がかかりませんでした。 フリーダムを乗せたシャム97は、果たしてどんな乗り味か。 6年ほど前、私がシャム97HMを購入したきっかけが、師匠の所持していたこのシャム97だったので、ボレーTTSを乗せたシャム97HMとの乗り味の違いも気になります。 もう一つのロッテフェラーのNTNビンディング、フリーライドについては、フリーダムのようにビンディングを板に直接ネジ止めするのではなく、プレートを介して固定します。 私が購入した初期タイプは、下の写真のようにプレートが金属製の4つ穴仕様です。 コブラのプレートと同様、ロッテフェラーの規格だけでなく、G3やボレーの4つ穴にも対応しています。これなら私が持っている板のほとんどに、そのままポン付けできます。 師匠の話によると、フリーライドの利点の一つは、ほぼステップインで使える点にあるらしいので、今回はゲレンデ練習用に最も使用する機会が多い板、ワールドピステに取り付けました。 ワールドピステはインビス仕様なので、プレート自体の取り付け取り外しを繰り返し行なっても、ネジ山がバカになる心配は、ほぼありません。 また、フリーライドのキットには、通常の木ねじだけでなく、インビス用の並目5ミリビスが付属していました。 板がインビス使用なので、ワールドピステへの取り付け取り外しは簡単に行えるのですが、金属プレートにビンディング本体を差し込む作業は、ちょっとコツが要るようでした。 師匠のアドバイスに従って、スライド部分にシリコングリスを添付したら、いくらかマシになりました。 NTNフリーライドの高剛性ボディーと板の性能をフルに発揮するには、4つ穴固定では強度不足で、現行の6つ穴プラスチック製プレートに変更されたのだろうと思いますが、師匠やモリちゃんのような上級者ならその性能を発揮できても、私のような初心者には違いが分からないような気もします。 しかし、フリーライドのプラスチック製プレートとヒールピースがあれば、本体だけ他の板に移動して使い回しできるというのもフリーライドの利点の一つだということで、現行タイプのプレートセットも購入しておくことにしました。 これで、師匠から購入した板、スープレスパワーにもポン付け可能です。 板をインビス加工しなくてもビンディングを使い回しできるというのは、NTNフリーライドの利点として、もっと宣伝しても良いような気がしました。 ですが、今回はとりあえずスープレスパワーには、ベクターグライドのオムニから取り外したロッテフェラーのコブラを取り付けることにしました。 スープレスパワーは、BCクロカン用のエオンを除くと、私が持っている板の中では最も細い板です。 サイドカーブもきついので、ゲレンデのグルーミングバーンでどんな乗り味なのか非常に気になります。 NTNビンディングを取り付けるにあたって、今回ブログに書いたNTNフリーライド、フリーダム、それに、先日ブログにあげたボレーTTSとまな板TTS用のテンプレートを薄いアクリル板で作成しました。 自分の足のサイズに合ったテンプレートを作っておくと、ヒールピースも一発で決められて便利です。 さて、昨シーズンはBCクロカンでそこそこ楽しめたので、昨シーズン終了時点では、今後はBCクロカンで山に行きたいなと思っていました。 なにしろ道具が軽く、ブーツは家の玄関から履いていっても全く気にならない柔らかさなので、プラスチック製のブーツと重いテレマークの道具を持って出かけるより、遥かに気軽にスキーに行ってこられます。 数年前からBCクロカンで使用しているマズシャス・エオンより少し太いウロコ板、センター68のエポックを買って、ハイシーズンもBCクロカンで山に入れるようになることが昨シーズン終了時点で立てた目標でした。 なので、テレマークをやる機会は少なくなるだろうと思っていました。 NTN規格のブーツやビンディングを買う予定はなく、新しいBCクロカンの板とブーツを買うために、タマキスポーツの閉店セールへ行ったのですが、欲しかったクリスピーのスヴァルティセンBCサイズ44がなかったので、ターミネーターXを買ってしまいました。 NTN規格のブーツを購入したら、当然ビンディングも必要になるので、一緒にビンディングを購入し、なんだかんだで、気になったビンディングを全て購入してしまいました。 当初は思い付きで買ってしまったことに後悔しましたが、半年経って新しいシーズンに入った今は、良い買い物ができたのではないかと思っています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2021.12.13 20:05:37
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