ＮＨＫ大河ドラマ 『真田丸』 。
第４９回の前半は、源次郎（幸村）への思いを松、信之、
信尹たち身内の他、御屋形さまはもちろん家康にも感じて、
そしてお兄ちゃんが積年の“借り”を世代を超えて返した
爽快な回でした。

徳川と豊臣の最終決戦が刻々と近づいてくる中、死ぬ覚悟を
決めた弟・真田左衛門佐幸村（堺雅人さん）に会いに大坂に
行くと伊豆守信之（大泉洋さん）は二人の妻にそれを伝え、
江戸を発つ支度を整えていました。

姉の松（木村佳乃さん）が干ししいたけや昆布などの乾物を、
あれもこれもと籠に詰めています。
信之が少し多いのではと言うと、松は「源次郎（幸村）に
食べさせてやりたいの！」とせっせと詰めてます。

松は不思議なお方です。
薫ママと同様、お家の大事を話しているときに思いつくまま
あれこれ言ってたときは、見ててイラッときました。
でも九度山に配流される父・昌幸たちを見送るときに、
誰にはばかることもなく「いってらっしゃいませ！、道中
ご無事で！」と声をかけたり、今回のようなことを言うとき
には、なぜか松の言葉がぐっとくるのです。
周りに遠慮しない性格の、いいところでしょうか。

そして大坂城では徳川を迎え討つための軍議が開かれます。
幸村は「まずは大坂を出て京をおさえ、伏見を本陣として、
近江瀬田にて進軍してくる徳川勢を迎え討つ。混乱に乗じて
一気に家康の首を取る。」と策を出します。

しかしこれは、全軍の士気をあげるために豊臣秀頼（中川
大志さん）が総大将として出陣し、伏見で采配をとることが
前提になっているので、大蔵卿局（峯村リエさん）はまた
反対の声を張り上げています。

でもここで、後藤又兵衛基次（哀川翔さん）や毛利勝永
（岡本健一さん）たちで考えた策が出されました。
敵は大軍、必ず広い南側から攻めてくる。
これに対し我らは天王寺に兵を進めて迎え討つ。
この案ならば秀頼が城から出ることないので、大蔵卿局も
ご満悦です。

そして敵が東側から攻めてきたときの対策として幸村が、
平野川の堤をあちこち切っておけば城の東一帯が沼地に
なって敵が城に近づけないと助言して皆が納得し、この
策で進めることになりました。

慶長２０年(1615) ４月２２日、京の二条城に入った徳川
家康（内野聖陽さん）は本多正純（伊東孝明さん）から、
総勢３０万の軍勢が京に向かっていると報告を受け、
最後にもう一度だけ大坂城の秀頼に降伏を勧める文を送る
よう正純に命じました。

しかしそれを聞いた徳川秀忠（星野源さん）は父・家康に、
秀頼がいれば牢人は今後も増え続ける、秀頼が生きている
限りこの戦は終わらない、父上は甘過ぎると言い、怒って
退席してしまいました。

家康よりの書状を受け取った秀頼は降伏勧告を拒否。
豊臣の家もこれで終わりだと、家康もついに豊臣を滅ぼす
決意をしました。

４月２９日、樫井で大野治房（武田幸三さん）が率いる隊と
徳川方の浅野勢が衝突し、大坂夏の陣が始まります。
この戦で塙団右衛門（小手伸也さん）が敵の銃弾を受けて
戦死しました。

５月１日、後藤又兵衛と明石全登（小林顕作さん）は徳川を
迎え討つ道明寺に向けて大坂城を出陣。
これを聞いた徳川方は本多正信（近藤正臣さん）の策で、
又兵衛が徳川と内通したと噂を流させました。

そのころ、真田信尹（栗原英雄さん）と信之は、怪しい者と
して徳川義直の陣で止められていました。
そこで対面したのが今は尾張徳川家臣となった室賀久太夫
（児嶋一哉さん）で、あの室賀正武の息子でした。

信尹が父の仇の真田安房守の身内と知った久太夫は二人の
前に立ちふさがり、「通すわけにはいかぬ。・・云々」と
言い出したとき、思わず信之が「黙れ、小童ぁーっ！」

信之に怒鳴られ、久太夫はビックリして「すいません。」
お兄ちゃん、積年の怒りを世代を超えてお返しできました。
この方は本当にメンタルが強くなりましたね。

そしてなんとか大坂城に入った信尹と信之は幸村と密かに
会い、信尹は今一度、徳川方に降るよう幸村を説きます。
この城では勝てない、大御所は父の昌幸が終生望んでいた
信濃一国を与えると言っていると。

それでも首を横に振る源次郎（幸村）を見て、兄・信之は
幸村が、家康を道連れに死ぬ覚悟をしていると悟ります。

「徳川に刃向かいたいなら刃向かえばよいが、死んでは
ならぬ。」と兄は言うけれど、それは幸村にとっては幽閉
され監視されながら生きながらえるだけのこと。
幸村はそれはもう嫌なのです。

説得をあきらめ帰ろうとする信之を、幸村は引き留めます。
「兄上と酒を酌み交わしとうございます。」
しかし幸村の言葉に振り返ることもなく、「これは今生の
別れではない」と、信之は去っていきました。

そして叔父の信尹は幸村に「生きたいように生きればよい。」
と言葉を残し、微笑んで去っていきました。

また家康のほうは、宿所に上杉景勝（遠藤憲一さん）を呼び、
酒を酌み交わして語り合っていました。

先の戦で幸村の戦ぶりを見た景勝は、自分がそうありたいと
思っていた人生をあの男は生きていると、感慨深げに家康に
語ります。
片や家康は「親子二代でたてついて、真田め。」と、面白く
なさそうに真田の名をつぶやきます。

乱世の同じ時代を長く生き抜いた者同士の、そしてできれば
源次郎（幸村）を手元に置きたかった者同士の、互いの胸の
内を思いやる時間が静かに流れていました。

（長くなったので、ここでいったん分けます）

• 

ニュースで室賀正武の息子役が出るとあって、どのように
出てくるのかと思ったら、あんな形だったとは・・・（笑）
画像は、大阪市玉造にある三光神社です。