セレンディピティ

九州へ帰郷した大好きな友達が上京してきたので

久々に会った。

無邪気で愉快な人で二人で笑いころげた。

強風のため電車が遅れて急いで駆けつけると

原宿の竹下口に小柄な彼女がいた。

5年ぶり。ちっとも変わってない。

早朝とあってまずは明治神宮へ。ここなら風も避けられる。

話しながら歩くうちに、いつの間にか明治神宮のお賽銭箱の前にいた。

参拝の仕方が書いてある。

それに倣ってお辞儀したり拍手をうったりするのも愉しい。

代々木公園へ移動して散策、広々とした芝生では、

ブレークダンスのような集会をしていて、しばし、眺める。

噴水前ではベンチに腰掛けて、互いの情報交換。

咲き始めた桜の樹をバックに二人並んでデジカメで写したら、

近すぎて顔ばかりがデカっ。まっ、いいか。

表参道に出て、同潤会アパートの最期を見に

彼女と来たことがあったので、「ほら　こんなになっちゃったよ」　

と、表参道ヒルズを見せて、

「前の方がよかったよね　

なんだか　ブランドもののビルばかりになっちゃってね」

と中には入らずに通り過ぎる。

脚が疲れてきたので

「電車で行こうか」

ということで銀座線で外苑へ。

おかげで、SELANに一番乗り。

まだ開店前だったけど、店内に案内してくださって

ラッキー♪とばかりに椅子に座っていると、

SELANのスタッフの方々の朝礼がはじまった。

好奇心いっぱいの彼女が耳をダンボにしているのが分かったので、

話をやめて　朝礼に意識を集中する。こういうチャンスはめったにない。

マナーのよいスタッフに、テラスに通されて、ひざ掛け、ストーブの点火、

いたれりつくせり。

メニューをいただいて、ランチコース、

サーモンと春野菜のペペロンチーノと

テラミス＆アプリコットのジェラードを二人ともオーダー。

可愛くて純真でコミカルな彼女の話は面白くて時間が飛ぶように過ぎてゆく。

「ねっ　飛行場までお見送りに行ってもいい？」と言うと、それはダメだと言う。

お別れみたいに淋しくなるからダメだと言う。「じゃ　どこまでならいい？」と、

聞くと　「品川」というので、じゃ　とりあえず品川へと同じ方向の山手線へ。

別れがたいのだもの。

5年前、九州へ帰るという日。「なんでも手伝うよ」と言ってあったので、

「ほんとにいい？」

と電話がきて、花小金井の公団アパートへ駆けつけた。

きれいに片付けられた部屋には幾つかのゴミ袋があって、

二人でエレベーターを何回か往復して捨てた。

ゴミと言っても、まだ使えるきれいな品ばかり。

東京での暮らしのピリオドのようにきれいさっぱり。

ゆっくり二人で食事して深夜バスで帰る彼女を見送った。

今度もそうしようと思ったけど、見送られるのは淋しいと、

また明日も会えるような普通の別れがイイのだと言うから、

それもそうだと、品川で手を振って別れた。

品川駅構内には、ショップがいっぱいあって、

ステキな雑貨や本を見たり買ったりして

少しづつ、気持ちをいつもの時間に戻してゆく。

愉しい余韻だけを残して淋しさは無視していると、

彼女から「楽しかったよ」メールが来た。

私も「おもしろかったよ」メールを返して、

二人で共鳴した須藤元気氏のことを調べて

メールを送ってあげようと新たな目的にワクワクして帰宅した。