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ピカルディの三度。~T.H.の音楽日誌/映画日誌(米国発)

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May 1, 2010
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カテゴリ:映画、テレビ
「Black Beauty」 ★★★★★(五つ星!)

 黒人お笑い芸人/喜劇俳優クリス・ロック氏の製作によるドキュメンタリーをDVDで鑑賞。


<内容>
 ツヤのある真っ直ぐな黒髪を求め、金と労力を惜しみなく注ぎ込んで髪の手入れをする黒人女性たちの日常を取材する。

 限りない時間をかけて髪をせっせと編んだり、髪や頭皮に有害にもなりうる強力な化学薬品を使ってまで縮れ毛を矯正しようとしたり、決して裕福でもないのにローンを組んで高額の付け毛、カツラを購入したり。
 黒人女性ならではの悩みも次々と吐露される。「髪が濡れるとあとがタイヘンなのでプールで泳げない」とか「愛しの君であっても髪を触られるのは恥ずかしい」とか。

 付け毛の原材料になるのは実際の人間の髪の毛であり、その入手先を取材しようと、クリス氏はインドに飛ぶ。アジア人は直毛で黒髪だし、特にインドには髪を提供してくれる女性が多いため、需要と供給が見事に一致。
 
 年に一度南部アトランタで開催される、「黒人の髪の毛を考える祭典」にもカメラが潜入し、その巨大な黒人用毛髪産業の実態も紹介される。


<感想>
 特に目立って派手な演出や編集もないドキュメンタリーではあるけれども、中立的な視点で律儀に取材していて好感が持てた。決して自虐的でもないし、理想の美を追求するオンナごころも真摯に解析。そして、直毛こそがgood hairとする世の風潮にもさりげなく苦言を呈す。

 なるほどと思ったのは、黒人社会では床屋/美容院が「公民館」のような憩いの場として機能しているという点。白人と黒人との間の壁がどんなに薄くなろうとも、身体的特徴には違いがあり、黒人の髪を切るのには特別な技術がいる。黒人さんたちは必ず黒人専用の理美容師のもとに通うので、そこはひとつの共同体と化し、黒人同士でいろんな情報交換が行なわれる。

 僕の周りにも黒人さんが何人もいるし、髪にまつわる話は彼らからよく聞くけれど、この映画を見てなおさら「美」とか「おしゃれ」、あるいは「効率性(手入れのしやすさ)」を追求するその熱意には素直に畏れ入った。

 ま、僕としては髪が薄くなってくるお年頃なわけであり、人の髪がどうこう言ってる場合ぢゃないのも事実(笑)。






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最終更新日  May 2, 2010 08:26:34 PM
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