カテゴリ:音楽(クラシック)
「権兵衛さんの赤ちゃん」
いつか機会があったら誰かピアニストをつかまえてクロイツェルソナタを合わせてみたいと思い続けて30年。いつになっても「機会」はやってこないので、ついにカラオケで挑戦してみたのでその感想を。 とにかく難しすぎる。 狂気じみてる曲だから後期作品と思われがちだけれども、作品番号は47番。ということは第3交響曲「英雄」よりも前に書かれたわけで、それってにわかには信じがたい。 1楽章は重音で始まるし、この時点でくじけそうになる。てか、この楽章はベートーベンの書いたソナタのなかで最も難しいと思う。音があちこち跳んで、音程をきちんととるのに苦戦。 あと、こてこてのイ短調なのに世間ではイ長調の曲扱いされてて、なんか変。ま、最初の数小節だけイ長調といやイ長調なだけで。 2楽章は変奏曲。相変わらずピアノは細かくて難しいことやってる。バイオリンは高音続出。最高音はファ。←第5ポジションでの4の指のファじゃなくて、それよりさらにオクターブ上のファ 3楽章(終楽章)も難曲。こうゆう音楽をどうやらタランテラだかと呼ぶ。シューベルト「死と乙女」終楽章にも似て、弓づかいを攻略しないと始まらない。あと、ラズモフスキー3番終楽章のノリが好きな人だったら何とか楽しめるはず。 この楽章、何かの曲に似てるとずーっと思ってて、今日やっと気づいた。「まぁるい緑の山手線っ」で始まるYドバシカメラの曲。新宿西口駅の前ぇとかいうやつ。原曲は英語では、The Battle Hymn of the Republic という題らしい。Glory Glory Hallelujah。 でも改めて聴いてみたら全然似てないし。 結論としては、この曲をカラオケで合わせるのはやっぱり無謀。1楽章も3楽章もテンポがころころ変わりすぎるし、ピアニストとバイオリニストとの間に絶大なる信頼関係がないとお話にならない。一瞬ずれただけで全てが崩壊してしまう。 かと言ってぼくは生身の人間ピアニスト様と合奏できる自信もないわけで、カラオケでのお遊びで満足するほかない。 確かトルストイの小説に「クロイツェル・ソナタ」というのがある。主人公が、愛しの妻(ピアノ奏者)が男性バイオリン奏者とこの曲を共演してるのを聞き、その息の合ったやりとりに妻の不倫を確信する話らしい。愛だの恋だのイチャイチャしながら弾くような甘美な曲では全然ないから、むしろ真剣な眼差しで二人で汗かきながら取り組んでるさまを見せつけられて、嫉妬の炎がめらめら燃え上がったのであらう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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