カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
一ヶ月間、常に私の足元にあり、ヨーロッパ大陸を私よりも近い場所で感じていたのが このスニーカー。 それは、ちょっぴり奮発したカンガルーの革製品で、柔らかい生地は決して靴ずれすることなく、無職な主人に対して実に誠実で働き者だった。(爆) 今日、やっとそれを磨いてあげることができた。 ヨーロッパの土を落とすのが惜しい気がして、半月以上もそのままにしておいたのだ。(苦笑) そして、それと共に旅の大活躍者だったのが「トーマスクック」君、言わずと知れたヨーロッパ鉄道時刻表である。 今回は、出発直前に届いたトーマス君をそのまま鞄に押し込んで旅に出た為、ルート選びと時間割にのみ重点を置いたが、 前もって彼をじっくり読み込んでおけば、旅は一層充実したものであったろうと、それは今後活かすものとする。 それでも、当初の計画はどこへやら、すでに10日目から行き先不明であった私にとって、この時刻表は大いに活躍してくれた。 地図を読むように、いつもトーマス君とにらめっこだった。 国境越えの場所を、駅舎の絵でもって表していることも有難い。 今も何気に手にしてみると、またも私を旅へといざなう。 特に消化不良で終わった旧ユーゴへの思いは、自分でも驚くほど膨れ上がっている。 ただ、今の自分では まだ訪れるに等しい器でないことを その場でもって理解できたので、これから先の課題が山積みなのだが。 今、最も懐かしいのがベオグラードだ。 一番、私がしんどかった場所。 なのに、一番先に浮かび上がってくるのが、あの切ない風景であり、重い空である。 そして、サラエボ。 ここだけムラトさんと二人で観光したのだが、次回は時間を掛け、一人でじっくり向き合いたい。 そして、今回パスしたマケドニアもやはり気になるし、時代が許せばコソボにも立ってみたいと思っている。 * 実は、きちんとガイドブックや外務省のホームページを開いたのは帰国してからのこと。 そして、少しニュアンスが違うかもしれないが、知らぬが仏・見ぬが秘事という故事をしかと噛みしめている。(笑) 特にサラエボは、一つの町の中にクロアチア人・ムスリム人の連邦側とセルビア人共和国が今なお別々に存在し、その見えない境界線上を越えないことが最低限の安全であった。 そんなことも知らずに自家用車でサラエボ入りした私達が、気軽に町を散策し、何のトラブルにも巻き込まれなかったことは、単に運が良かったのかもしれない。 だが、それでは旧ユーゴにいつまでたっても近づけない。 現在、比較的治安が落ち着いている旧ユーゴであるが、未だ戦犯逮捕作戦も進行しているのだそうだ。 そういえば、ボスニア紛争時の大量虐殺における法廷も終わりを見せてはいない。 つい先日も、ベオグラードで公判があった。 傷痕は建物だけではない。人々の心における過去の傷痕だけではない。 まだ現在進行形の問題が、地雷のごとくあらゆる場所に潜んでいる。 勉強不足で飛び込んだことを改めて恥じた。 クロアチアからセルビア入りする時も、その逆の時も、 それぞれの国境駅の、不愉快に感じた まるで地雷探知機のような道具での荷物検査でさえ、よく考えれば当前のことだった。 これまで、国境意識、民族意識があまりにもなさすぎたのだ。 次はもう少しましな旅ができるかな。 できるといいな。 今もトーマスクックを捲りながら、ベオグラード・サラエボ間の鉄道ルートを思い描いている。 Google map<Salzburg ~ Beograd > お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.12 21:32:40
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