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I love Salzburg

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2012.11.06
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最近、やっと自分の読書スタイルが分かってきた気がする。


一冊でも多く良書に接しようとする人、一冊を何度も何度も読み返して熟読する人、
まぁ、読書家と呼ばれる人は、そのどちらもというのが多いだろうが、

私は恐ろしいほど本を読まない。

1行読んで止めた本は山ほどあるし、今でも その殆どが3行読んだら寝てしまっている。

だから私の文章がこんな陳腐で幼稚なわけであるが、だが本は好きだ。


この旅にも3冊の本を同行させた。

588.JPG


その一つが、途中 旅の行き先にも影響を与えた、宮本輝著『ドナウの旅人(上)(下)』、

もう一冊が、私のユーゴ贔屓を確立させた、米原万里著『嘘つきアーニャの真っ赤な真実』である。


どちらも以前、このブログで引用させてもらったが、今日はセルビアはベオグラードについての彼らの描写を抜きだしてみたい。


荒っぽい運転で、タクシーはネマーニン通りからミロシュ通りへと曲がり、チトー将軍通りへと入った。
道行く人の顔立ちは、ラテン系もあれば、あきらかにスラヴ系と判るものもあった。

石造りの建物は殆ど目につかず、大きなガラス窓が目立つ近代建築には、日本の電機メーカーの看板がかけられていた。
チトー将軍通りが、ベオグラード市内における目抜き通りらしく、車で混雑していた。

少し大通りから外れたら、閑静な場所もあるには違いなかったが、麻沙子には、ベオグラードという街が汚れた猥雑な街に思えた。



これは、『ドナウの旅人』の中で、主人公・麻沙子が見たベオグラードの姿である。
それはたぶん、宮本氏が持つこの街の第一印象であろう。

最初に読んだ時は、彼が描くブダペストとの違いに驚いたほどだ。



そんなベオグラードも米原氏の目から見ればこうなる。


そうこうする内に、列車はベオグラード市街を走っていた。
その街並みも予想以上に美しく、そこに暮らす人々の豊かな生活を物語っていた。

ついに列車が終点に到着した。
車掌に別れを告げて列車を降りると、外は11月とは思えない暖かさだった。早速着ていたオーバーを脱いだ。
「ようこそ、バルカンへ。ここはもうヨーロッパではありません。バルカンです。」達者な日本語が聞こえてきた。

  (略)

なんだか、とても嬉しくなった。
空は高く青く、プラハやブカレストでたまった鬱屈が晴れていくような爽快な気分になる。
「気に入ったわ、その言い方。ここはもうヨーロッパではなくバルカンです、ていうの」



こうも書かれている。

行き交う人々は、それぞれ個性的な、それでいて趣味の良い身なりをしている。
ショーウィンドウに並ぶ商品も多彩で豊かだ。
ブカレストとは較べものにならないのは言うまでもないが、プラハやブダペストにいささかも見劣りしない。




宮本氏は1983年頃、米原氏は1990年代前半のボスニア紛争真っ只中のベオグラードを描いたもの。

だから時代が異なるのだが、たぶん二人の持つベオグラードに対する感情からして違ったのだろうと私は思う。

私は当初、どちらかといえば宮本氏が見たベオグラードと出会った。
猥雑、その通りだと思った。


だが、そこで会った温かい人達との交わりと、旅を終えて 旅を熟成させるにあたって、あの街の印象は米原氏のそれに近づいていった。

もちろん、二人が訪れた後にコソボ紛争は起こり、NATOによる激しい空爆を受けているベオグラードであるから、そう無条件に爽快なことはない。

けれど、今は思う。
その街並みも、そこに暮らす人々も予想以上に豊かで美しいはずだと。


275.JPG


私と本の繋がりも、また旅である。

本が旅に深みを与えてくれ、本の描写が旅によって私の実在になる。



ギリシャ人のリッツァは同級生のマリ(米原氏)にこう言っていた。

「マリ、ヨーロッパ一の美男の産地はどこか知っている? 覚えておきなさい、それは、アラン・ドロンの生まれ故郷、ユーゴスラビア。
悔しいことに、ギリシャは隣国なのに、あれほどの美男には恵まれていないのよねえ」



(笑)


Google map<2012.09.14~15 Beograd>





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Last updated  2012.11.07 09:05:53
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