カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
ここで、話はオーストリアへ飛ぶ。
ザルツブルクからバスで1時間30分、そこはアルプスの山々と湖が眩しいザルツカンマーグートにある街のひとつ、バート・イシュルにやって来た。 そこはスパリゾートでも有名だが、 私にとって二度目となるこの訪問の目的は、前回と同じくカイザーヴィラという皇帝の別荘にあった。 そこは今でもハプスブルクさん所有の建物なのだが、 その宮殿の一室で合図が鳴った。 サラエボ事件の続きである。 ここで、当時の皇帝フランツ・ヨーゼフはセルビアに対する宣戦布告に署名したのだ。 1914年7月28日。 サラエボ事件からちょうど一ヶ月後のことだ。 暗殺者がセルビア青年というだけでなく、暗殺に使われた武器が実はセルビア政府からの支給品だったということで、 オーストリア政府はセルビアを非難し、宣戦布告することとなる。 敵はセルビアだけではすまなかった。 そして、偉大に見えていたオーストリア帝国は、多民族バラバラの形だけの巨大国家だった為、崩れ出すと勢いは止まらない。 すでに84歳という高齢だったフランツ・ヨーゼフ皇帝。 彼の心うちを思えば、きゅんとする場所だった。 そういえば、ここを3年半前に訪れた時も、肩を落とした皇帝の寂しそうな姿が目に浮かぶようで、彼が息を引き取ったシェーンブルン宮殿よりも深く胸が痛んだことを思い出した。 その生涯の殆どの夏をここで過ごしたフランツ・ヨーゼフ。 妻エリザベートと出会ったのもこの街、この宮殿は二人の結婚を祝して彼の母親から贈られたものだ。 好きな狩りにも没頭し、彼もスパを利用したのだろうか? 質実剛健な皇帝らしく、愛する家族の写真以外は最低限の身の周りの物しか置かなかったという寝室は、皇帝をより身近に感じさせる場所だった。 絢爛豪華な宮殿もいいが、緑多くひっそりとしたこんな場所の方が、人間フランツ・ヨーゼフの姿が見えるようで、結構私は気に入っている。 それに、ここには私のお目当てがあった。 それは、前回の私が食べ損ねていた、フランツ・ヨーゼフ皇帝の大好物グーグルフプフ、 つまり、クグロフだ。 毎朝4時に執務を開始した皇帝が、熱い珈琲とともに、いつも6時半きっかりに食べていたそのお菓子、 実は、マリー・アントワネットの大好物でもあったというそのケーキ、 それが このカイザーヴィラ内の小さなカフェで食べられるという。 クグロフなど どこででも食べられるじゃないかと言われそうだが、ハプスブルク家の味を楽しみたいのだ。(笑) 前回は真冬の為に閉まっていたそのカフェだが、今日こそはリベンジだ! だが、そんな意気揚々と向かったその先は、またも「closed」だった。 私が訪ねたのが10月2日。 カフェは9月中旬以降はお休みだと貼り紙が寂しく伝えていた。 そんな殺生な~とも思ったが、ここはオーストリア、夏の離宮はそろそろ役目を終える季節なのかも。 次回、三度目の正直か。。。 この写真は、皇帝がセルビアに対する宣戦布告に署名をした書斎。 当時から、机の上には出会ったばかりの15歳の妻エリザベートの石像が置かれていた。 (写真はクリックで大きくなる) Google map<2012.10.02 Salzburg - Bad Ischl> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.15 23:18:47
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