カテゴリ:旅行記 中欧8ヶ国 '12.9月
今回の旅行記は、旅先で一瞬一瞬思ったことを記していくことが目標だった。
だから、わざわざパソコンを開くのではなく、常に手の中にある携帯から更新していた。 おかげで、9月分の電話料金は4万円近くも掛かってしまったが。(苦笑) だが、その時の言葉を逃したくなかった。 せっかく長旅に出るチャンス、記録も自分の望む形で残したいと思った。 では、帰国後の日記に意味がないのかというと、そうではない。 瞬間の気持ちと、時間をかけて熟成させることで深みが増す感情と、私はどちらも大切だと思う。 特別な旅ほど、何年先までも書き続けられる、それを知った。 実際は終わった旅でも、心はどこまでもその旅を広げていけるから。 振り返ると、この旅行だって これまでの記録の続きみたいなもの。 そうやって旅を重ねる度、旅を綴る度、一つ一つの旅は繋がり、そして自分探しに繋がっているようで面白い。 これも、私の旅のスタイルだ。 * * * 帰国後、一気に書きたかったのがセルビアとボスニアのこと。 この二つはとりあえず、その時の感情と、そこを離れ、だがさほど時間の経過のないうちに記しておきたい場所だった。 あ、今の時点で省略すべきと思ったものは記していない。 そして、その流れでオーストリアまで戻ってきた。 私が初めてウィーンのシェーンブルン宮殿を訪れたのは2004年の元日だった。 その朝一の観光客は私を含め2人しかおらず、あの大広間を独り占めする幸運に恵まれた。 そこで毎夜繰り広げられていた舞踏会を思い描き、私は陶酔した。 両手を広げ、くるくる回る私を笑う者は誰もいない。(笑) 先日、人間フランツ・ヨーゼフを感じられるには、絢爛豪華な宮殿よりもこじんまりとしたカイザーヴィラの方がいいと書いたが、 シェーンブルンはシェーンブルンで、ここでしか感じられない特別なものもある。 それは偉厳を持つ皇帝の姿と、まさに頭上に鳴り響くワルツの調べだ。 自然と体が踊り出す。 今回は大勢の観光客が居たために、さすがに目に見えて踊ることはできなかったが、それでも気が付けば足先はステップを踏んでいた。 もともと私はウィンナーワルツが好きだ。 普通はアイドル達に心ときめく中学時代に、私はいつもヨハン・シュトラウス父子のワルツばかりを聴いていた。 とりわけお気に入りだったのが、息子作曲の「春の声」だ。 楽譜を買い、一人ピアノの練習に励むほど好きだった。 たぶん、あの頃から私はシェーンブルンの舞踏会に参加していたのだと思う。(笑) 実際のドロドロした人間模様までは子供の私には関係ない。 その夢見心地だけが私のシェーンブルンだった。 さて、庭園内の小高い丘にあるグロリエッテ。 それは、プロイセンとの戦いに勝利した記念に建てられたという、ギリシャ建築の記念碑。 現在はカフェとなっていて、ここから見渡すウィーンの景色は最高だ。 だが、見晴らしの良い席には限りがある。 というか、普通の席を選べば、こんなふうに背筋をぴんと伸ばしきっても、残念ながら外の景色は見えない。(笑) ウィーンだからか、シェーンブルンだからか、たぶん そのどちらともだろうが、 可愛いマリアテレジアイエローに彩られ、庭園には色鮮やかな花達が咲き誇り、例え真っ白な冬になっても、この場所に居るだけで春を感じる。 やっぱりウィーンは素敵だと思う瞬間だ。 ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート 2006 - ワルツ「春の声」 Google map<2012.09.25~28 Wien> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2012.11.17 20:02:48
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