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カテゴリ:南仏生活
このブログで何度となく触れて来たフランスの個人主義。
私の思うところは「もっと全体に習おうよ」なのですが、 個人主義もいいかなと思える出来事が先日ありました。 9月から小学校1年生(CP)の娘ですが。 1月からプール授業があります。 えっ!真冬にプール授業!? と驚いた皆様、当然です。 フランス人保護者も驚いています 理由の第1はフランスの学校は日本のように各学校にプールがないので、 町の小中学校の生徒達が全員市営プールへ行くことになります。 (あ、もちろん屋内温水プールですけど。) そうするとどうなるか。 くじ引きなんですね~ で、1月後半~6月末日の間で時間割が組まれる訳です。 娘のクラスは1~4月となり、ラッキーだったクラスは4月~6月となるんですね。 市営プールへ行くにはバスをチャーターする必要があり、1クラス20人と日本と比べると少ない生徒数とは言え、引率は担任だけでは心もとないので有志の保護者を募ります。 娘がちゃんと服を着脱して髪を乾かして…なんて工程を出来るとはとても思えなかったのでもちろん立候補しました。 ちなみに有志は私を入れて3人、うち毎週参加したのは私ともう一人。 相変わらずフランス人保護者、やる気ありません 自分の子供がちゃんとできると過信しているのか、無関心なのか? 引率に参加して気が付くのは。 -水着を着せて登校させたものの下着をかばんに入れ忘れる親。 -編み上げ靴と呼んでいいほどの紐が絡みついたスニーカーをはかせる親。→一人で靴を着脱も出来ない。 -お金がないからと水泳帽を持たせない親。→子供はプールに入れません。ちなみに水泳帽の値段150円ほど。 -女の子は長い髪を乾かすことも出来ず、下校までそのまま。 -髪を乾かすことが出来ないのでプールを休ませる親。→…それ、いいの!? そして何よりも衝撃だったのは、担任の先生エロディがプールに入らないことです 理由を聞けば 「水が体に触れる感覚が好きじゃないから!」 ええ~~~~ そして、有志がいなければ「プール授業は無しにしましょう」とさらりと言ってのけました いや、あの~。 私も超暇人って訳でもなんでもなく、むしろ今仕事が非常に忙しく、その時間を割いてわざわざ子供達のために参加しているんですが? …なんて勿論言ってませんけど 言ったところで、「じゃあ、来なくていいですよ(にっこり)」って感じなのでしょう。 うむむむむ。それでいいのだろうか。。。。 と、毎回葛藤しながら、いやそれなりに子供達と楽しみながら参加していたのですが、ある日担任のエロディとちょっと深い話になりました。 なんでも、16歳くらいの時にプールで友達がふざけて、彼女めがけて飛び込み、彼女を水の中に沈めたのです。 飛び込んできた時に彼女を直でわしづかみにしたものだから首に強い衝撃が加わり、抵抗することが出来ずに危うく溺れかけたというのです。 その時に彼女が言った「水が体に触れる感覚が嫌い」、という本当の意味を理解しました。 今でもその時の恐怖を抱えているのだな、そしてそれは当然のことだな、と。 しかしプールに入る入らないは個人の自由と切り分ける。 それが教師の仕事に支障をきたすことはない。 こんな個人主義には私も大賛成です。 「みんながやるからやらなきゃいけない」 これをすべてに押し通すことはどうなのかと。 枠組みは確かに必要だけれども、個人の置かれた状況により柔軟に対応する人間らしさは何よりも大事なことだと。 ということで私も半ば義務感で引率していたプール授業を、諸々事情が重なったため2月は欠席しました。 3月からは隔週くらい参加しようと思っていますが、 「嫌なことはやらない」フランス人は、「嫌なことを嫌と言える」、つまり自分自身を守ることができる、 自分の限界を知り自分らしく生きることを知っているとも言えましょう。 「できないこと」をやりぬいた時の達成感も素晴らしい。 でも「できないこと」を他者が強要してはいけない。 そしてそれを周りがハンディとして捉えない。 そんなフランスの個人主義は素敵だなと思った午後でした 先日のヴィオラ発表会にて お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013.03.02 06:42:41
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