不況時に増殖する“鉄子”の正体は?
出版界では、「不況時には鉄道本が売れる」という噂がまことしやかに流れているというその先鞭を付けたとされるのが、昨年発売された新潮社の『日本鉄道旅行地図帳』(全12巻)。これは鉄道好きのベテラン社員が、社内の反対を押し切って企画を通したという逸話のあるシリーズでもある 鉄道モノでは異例の合計約150万部近くを売り上げた。集英社の『週刊鉄道 絶景の旅』は、今年5月に発売された創刊号の売り上げが実に35万部を記録。この鉄道人気を後押ししているのが世の女性たちだということを、ご存知だろうか。彼女たちが熱心に読んでいるのが、今や鉄道ファンならずともその存在を知る鉄道マンガ『鉄子の旅』(小学館)である。これは、「ローカル線全駅下車」など、主人公がユニークな挑戦を敢行する実録モノだ。 一方、エッセイでは、酒井順子の『女子と鉄道』(光文社)や『女流阿房(あほう)列車』(新潮社)といった意欲作があげられこのような鉄道ブームの背景には、格安の鈍行列車旅行やお得な周遊切符を活用した気ままな旅など、財布の中身と相談しながら無理なくチョイスできる旅行が、不況下で見直されているというトレンドがあるようだ。