エジプト国民は、独裁政権を30年の長きにわたって維持してきたホスニ・ムバラク大統領を辞任に追い込み、民主化革命を達成した。チュニジアにおける民主化市民革命につづき、いわば連鎖作用のように始ったエジプト国民のデモであったが、2週間有余、ムバラク派の対抗によく耐えた。死者も出たようではあるが、非暴力による無血革命といってよかろう。
成功の予感はあった。衛星放送によって各国のテレビ映像を見ていると、当初から軍がデモ隊を暴力的に排除することはせず、むしろ市民を周囲から保護しているようだった。独裁強権国家における軍は、おおむね権力維持の手先となって、場合によっては大量殺戮を辞さない。それがこのエジプトではむしろ政権打倒に傾いていることが、街頭デモを撮影した映像からもうかがえた。そのためもあったであろう、ムバラク支持派の暴力によって死者が出ると、民衆の心は、ここで引き下がっては犠牲者の死は無駄死にになるとばかり、一層結束していったようだ。
デモに結集した市民は、文字通り老若男女を問わなかった。そのため、国民が抑圧によっていかに苦しんで来たかをみせつけていた。国民一般の暮らしぶりと、国有財産横領の疑いさへ出て来ているムバラク大統領一家の豪勢な暮しぶりとは、比較を絶していたと伝えられている。ある人は、「ムバラク大統領は、どこか他の国のひとのような生活をしている」と、インタヴューに応えていた。
チュニジアとエジプトとの民主化への道は、大統領を退陣させたとはいえ、今後、なお困難を予想されている。アラブ諸国には他にも長期独裁政権があり、それらの国々との関係もあろう。それらの国の独裁者は、いまや革命の気運が飛び火することを虞れているにちがいない。国民への締め付けが行われないとも限らない。伝達メディア、なかんずくインターネットへの規制がおこったときが、それだろう。いまやインターネットは市民革命の最大の武器であることが明らかになったからだ。
とにもかくにも、エジプト国民の勇気を讃え、民主化実現に向けて大きな一歩を踏み出したことに祝意をおくりたい。
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Last updated
Feb 13, 2011 12:21:35 AM
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