午前中に、供物を持って墓参。植えた覚えのない白百合が、一輪咲いていた。百合は球根で栽培する。種が何処かからか飛んで来るというものではない。きっと弟夫婦が植えたのだろう。
話は変わる。
昨夜、浜ちゃん松ちゃんのT V番組で高齢者問題をやるというので観てみた。どうも民生委員として特に高齢者を重点的に担当しているものだから、高齢者問題トピックスはできるかぎり読んだり観たりするようになった。
番組での話題は、---私は専門的にもっと突っ込んだ現実の状況を扱っているので---、注目する点はなかったが、まあ、バラエティー番組の御定まりで「寿命チェック」というのをやった。私も手近の紙に書き取って自分の寿命とやらをチェックしてみた。
おやまあ、であった。私の寿命、103歳! 喜んでいいのか、困ったぞと言うべきか。
私は、常日頃から、自分の死を考えながら絵を描いている。作品の根底に、自分の死を据え置いている。そのことは当面の作品のテーマとは直接には関わりなくとも、私の作画精神に淡い影を落としている。---そして、いつか描けなくなる時が来るにちがいない、と思っている。その時が、私の「寿命」なのではないか、とも。
昨夜、103歳という数字が出て、(出演して解説した医者には申し訳ないが、寿命診断テストの根拠がさほど科学的な精緻さを備えているとは思えないし、統計学的にも粗雑と思うのだが、それはともかくも)、さて私はその歳まで描けるか? と考えこんでしまった。
画家には、意外に長寿者がいる。日常的に「色」を使うためだとも言われているが、特に日本画家に多い。100歳を超えて描き続けた私の記憶にある画伯をあげれば、小倉遊亀(おぐらゆき)さん105歳、片岡珠子(かたおかたまこ)さん103歳、奥村土牛(おくむらとぎゅう)さん101歳。彫刻家の平櫛田中(ひらくしでんちゅう)さんは、なんと107歳。100歳には到らなかったが秋野不矩(あきのふく)さんは93歳まで描いて亡くなった。
外国で100歳を超えた画家を私は記憶しないが、ピカソが92歳。ジョルジュ・デ・キリコとジョアン・ミロが90歳。ミケランジェロは89歳。
103歳まで34年。振り返れば光陰矢の如しで、34年前はついこの間のこと。しかし、これから先きの34年間は---。いやはや、えらいこっちゃ。
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