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きょう3月11日は東日本大震災から6年目に当たる。津波に浚われたまま何の手がかりも得られていない犠牲者も多く、同時発生の原発災害避難者を含めいまだに仮設住宅に住む方は3,4万人いられるという。
【6年前の3月11日の日記】 東京、午後2時46分、ただいま地震。大きな揺れ。仏壇の位牌や花瓶がころがり落ちた。玄関にワイヤーで吊ってある大鏡が激しく揺れ、私の仕事場では立てかけてある大きな絵が倒れた。家人とともにベッドに寝ている老母の周囲をガード。長い揺れである。
揺れが少しおさまったところでテレビの速報・警報を見る。震度7、マグニチュード8.4(後に8.8に訂正)。宮城県の海岸に6mの大津波が到達。3時20分、10mの警報。テレビ画面は釜石漁港が津波に呑み込まれる様子を映し出す。停車中の十数台の自動車が波に浮き、没してゆく。仙台空港が水没。集落全体が波に押し流されてゆく。次第に被害甚大の様相。
原発災害の処理は6年経っても一向にメドが立っていない。それでもなお原発稼動に向けてやっきになっている輩がいる。そのなかには、捕らぬタヌキの皮算用ではないが、したたり落ちる甘い汁に舌なめずりをしている奴ばらの姿が透けて見えもする。明日は我身の上かもしれない被災者の犠牲の大きさのみならず、政府は国土の荒廃など意にもかけない。まったくなんということだろう。
私は日本の古来からの政治思想の基底に、「棄民思想」が汚泥のようにこびりついていると見ている。それはほとんど無意識化されているのだが、法規上に、それを現実的に運用する行政に、そして歴代の政治家の心底によこたわっている。
時にそれが誰の目にも明らかに露呈することがある。
たとえば南米移民を劣悪条件を隠蔽してそこに放棄したり、零細農民等をほとんど狩りたてるようにして満蒙開拓団として送り込み敗戦と同時に敵襲のなかに放置して顧みなかったり、あるいは沖縄戦における住民に対する軍幹部の卑劣でバカげた対応、そして現在、その沖縄の傷に塩を塗り込むような政治、あまつさへ政府の対応に反対する人達を「極左」とレッテルを貼るファシズム的なプロパガンダ。
あるいは、麻生太郎副総理兼財務大臣が、こんな演説をした。「90歳になって老後が心配とか、訳のわかんないこと言っている人が、こないだテレビに出てたけど、オイ、いつまで生きてるつもりだよと思いながらテレビを見てましたよ。(2016年6月)」
この傲慢不遜な物言いに、政治家としては「棄民思想」を培養していると言わなければならないだろう。------例をあげていたらきりがない。
注目すべきは日本政府の上記のようなプロパガンダにおいて、「極右」としてレッテルを貼り批難したことは、日本政治史上(おそらく)皆無だ。当然といえば当然で、右翼とは政府に組すること。したがって彼らのほとんど暴力的な行為も「言論の自由」と抱き合わせて半ば容認されてきた。
いまようやくヘイトスピーチに対する規制はでてきている。が、それもどうも弱腰。なぜなら彼らを煽るように強力にバックアップしているのが現政府の支持団体だからだ。
私は、世界中の極右的な愛国主義者たちを観察して、「なぜだろう」と思うのだが、みな暴力団的な要素がある。彼らのなかには、そして大変多くが、社会的には大きな地位にある人、あるいは知識人とみなされている人、あるいは宗教者と------まあ、いろいろではあるが、何かもっともヒューマニズムな共生と平等の気質を欠落しているように思う。ヒューマニズムは「ユマニスム」とフランス語のほうが適当かもしれない。それはひとつの哲学的な思想にすぎないけれども。
稲田防衛相はとかく知性を疑う言動の人物だが、いまでは「教育勅語のどこかが悪い」と息巻いている。
「教育勅語」は、気がつかれないのかもしれないが、ひとつの差別思想だ。ひいては棄民思想にすぐにも変化してしまうものだ。「教育勅語」のもとでは女性防衛大臣など生まれなかったであろう。日本の教育史は、稲田さん、それを克服してきたのです。あなたは負けん気だけで世渡りしてきたのでしょうか?
現在、日本会議などの極右愛国主義団体などが宗教団体と結んで復古的な主張を繰り返しているが、憲法は無論のこと社会制度の復古は日本にとって亡国的に害をもたらす。彼らの愛国思想は人命をないがしろにするタナトス(屍体願望)と深く結びついている。私はそれを見抜く。
一個人が懐旧にひたるのは、あまり健康な精神とはいえないが、まあ問題にすることはない。しかしながら、日本の現代史は、懐旧の誘惑的な牽引力に抗しながら、曲がりなりにも制度的社会悪を克服してきたことを示している。それは時の政府の力ではなく、日本国民の力だったのだ。極右愛国主義者おとくいの言語武器「自虐思想」どころではない、誇りとすべき国民の力である。
私は、愛国者だ。これからの愛国はまったく新しい哲学、新しい思想で、これまでの死臭・腐敗臭ただよう泥沼のような日本から脱出しなければ!
東日本大震災から6年目になる今日、犠牲になられた方々に深甚なる哀悼の意を捧げつつ、日本政治の根底によこたわる問題について考える機会とする。
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