多忙な日々がつづいている。ニューヨークのアートフェアが終了した。今日、午前中は中学校の入学式に出席。一昨々日は医療クリニックでの第6回目(通算11回)の美術講座。そして明日、午前中は幼稚園の入園式に出席し、午後は再び美術講座。それらのスケジュールの間にも仕事。
・・・「どうしてあんなに元気なの?」という声が、どこからか聞こえてきた。わかりませーん、である。白髪は増えるし、記憶力は衰えているし、秘策なんてあるはずがない。
ある若い方が、「世の中のことがどのくらい分かったんですか? ご自分で何パーセントくらい分かったと思いますか?」と私に聞いてきた。
こんな質問をされたのは初めてだが、私は笑いがこみあげてきた。それは楽しいような笑いだった。ああ、若さって、こういうことかなー、これだけ勉強すれば、これだけ世の中がわかり、100パーセント分かるときが来るかもしれないと、どこかにそんな思いがあるのかなー、と私は笑いながら、「少しも分かりません」と応えた。「・・・けれども、人間って、すごいと思いますよ。人間には数万年の知識の積み重ねがあります。しかしそれでも、誰も世の中のことをわかってはいないんです。しかし、探求するんです」
・・・私の思いは、こういうことだ。たとえば、今私が、こんなことは誰も研究してはいないだろうと思う一見くだらないことでも、探ってみるとちゃんと研究している人がいるんです。絵でいうと、ありとある人間の営み、・・・善悪や美醜などという二元論的な範疇では語れないような営みが、現実と幻想との両方で描かれて来ているんです。しかしながら、いま、まさにこの時でも、絵描きたちは人間を描いています。描いても描いても、分からないからでしょうね。・・・
私もまた、世の中が分からないために、腹立ちまぎれに、半分壊れかけたエンジンを馴らし馴らししながら(それは自覚している)、墓場への道を走っているのだ。
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Last updated
Apr 9, 2019 07:02:05 PM
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