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2021/07/15
テーマ：創作童話(818)
カテゴリ：カテゴリ未分類
トメさん、うつらうつらしていたとき、カメぱっぱが急に指名した
から不機嫌な声をだします。 「海底人だか地底人だか知らないが、アホな人間を支配して、世界中で 起こっている紛争を止めさせるなら、とっとと侵略して地球を平和にして おくれよ」 そこで目を皿のようにしてモニター画面を見つめました。 「アンタは浮世絵に描かれている女に似ているね。体もひょろっとして 顔も瓜実顔でなんか大昔からよみがえったようだ。アタシは人間族でも 90歳を過ぎた年寄りの木村トメというのさ。大方の人間よりも知識は ないがね、知恵はあるつもりだ。ところでアンタ名前は？」 「エリーゼです」 「へーー、ハイカラな名前だ。トメとは大きな違いだよ」 ホワイトハウスのモニターよりも一回り小さな画面に映るトメさんを 見ていたエリーゼは、これまで話をした生物とやや毛色が違うので 緊張した様子です。 「トメさん、私たち海底人の平均寿命は300歳以上ですから、まだ お若いですよ」 「そっちと違って、人間族ではお迎えが来てもおかしくない歳なのさ。 ところで大統領とは話したのかね」 「トマソンとは長時間話し、その後、地底王国、白肌族女王のクリサーラとも お話し、今しがたカメぱっぱさんにトメさんを紹介されました」 「そうかい、それで悪い海底人が人類を手玉にとるらしいけれど、その 解決策はめっかったのかい」 「いいえ、当分の間、敵を刺激しないで時間を稼ぐということになりました」 「そんな、受け身の姿勢だと、向こうの思うツボだよ。攻撃は最大の防御でね、 何もしないと、無駄な時間を過ごすだけだね」 「トメさん、よいアイデアがあれば、教えてください。そちらにいるクリサーラ も訊きたいと思いますよ」 「海底人は、人間と比べると視力と聴覚がやや落ちるらしいね、そこでさ、 嗅覚の話があんまし出てこないけれど、どういうわけ」 「匂いには海底人もかなり神経質で・・たしか地底人もそうでしたね。 臭いゴケから抽出したものをブッチャーに嗅がせ、眠らせて地下牢に閉じ込め たのでしょう。海底人も人類と違い自然な空気を吸う習慣はないから、様々な 匂いを嗅ぐことはありません。その反動で刺激臭は元より、人類が影響を感じない 匂いも私たちには耐えられないのです。それよりもなぜ、トメさんは、 それに気がついたのですか」 「全ての生き物って目、鼻、耳から情報をとって生きるためのデータにする のさ。アンタと他の者が話していて、海底人の弱点を質問しても・・微妙に 匂いの点を言わないようにしているのに気が付いたのさ。誰だって自分たちの 弱いところを率先して教えたくないよね。エリーゼ、かと言って、アンタを 責めるつもりはサラサラないよ。それよりアタシはアンタの勇気を誉めたたえる からね」 「これまで、いろんな方とお話しましたが、トメさん、あなたは物事を 達観した見かたが出来る人です。これからも、あなたの持っている知恵を 貸してください。どうでしょう、クリサーラ、ここでボントスたちの 攻撃の芽を刈り取る方法や、トメさんが言うように、私たちからも攻撃する ような作戦を考えた方が良いかも知れませんよ」 つづく お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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