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地獄のナルシサス

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2011.08.17
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カテゴリ:絵画
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自分はこの夫だから今まで生きてこれたけど別の夫だったら死んでたんじゃないかとしょっちゅう思う。

相手を幸せにするのは難しいし不幸にするのはたやすい。

 

 

ラファエル前派の画家で詩人のダンテ・ガブリエル・ロセッティのことを考えてしまった。

ロセッティの生涯にはエリザベス・シダルとジェーン・バーデンという2人の女性が登場する。この2人の女性とロセッティとの関係は複雑である。

 

エリザベス・シダルは長い婚約期間の後、ロセッティの妻となった人で。ロセッティの代表作『ベアタ・ベアトリクス』、またミレーの代表作『オフィーリア』やハントのモデルも務めた女性である。

 

一方のジェーン・バーデンは19世紀イギリスの装飾芸術家・デザイナーとして著名なウィリアム・モリスの妻となった女性であり『プロセルピナ』をはじめとするロセッティの多くの絵でモデルを務めている。

ジェーンはロセッティが終生追い求めた理想の女性であったとされ、男を破滅に追いやる運命の女だった。

 

 

ロセッティはエリザベスと婚約しながらジェーンに惹かれていった。結局誰も幸せになっていない。

 

繊細で病気がちな女性だったエリザベスにとってジェーンの存在は激しい苦痛の種となった。ジェーンはロセッティの弟子にあたるウィリアム・モリスと結婚し、ロセッティは婚約者のエリザベスと予定どおり結婚した。

 

しかし、これら2組のカップルの結婚生活はともに幸福なものではなく、ロセッティは人妻になったジェーンに対する思慕は止むことはなかった。

 

夫婦関係が冷え切っていたし、女児を死産したエリザベスは阿片チンキ(鎮痛麻酔剤の一種)に溺れるようになり、結婚2年目のある日大量の薬を服用して自殺同然の死を遂げた。

 

彼女の死を悼んだロセッティは『ベアタ・ベタトリクス』を描いた。

 

ロセッティは世間的な成功は得たものの、人妻への思慕と自分の妻への罪悪感にさいなまれて心を病み、自殺を図ったりした。晩年は酒と薬に溺れる生活で不眠症のため真夜中にロウソクの灯りで絵を描いていたという。

 

ロセッティは1882年失意のまま54歳で死んでしまった。





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最終更新日  2023.01.22 21:57:52
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