テーマ:好きなクラシック(2292)
カテゴリ:クラシック音楽
『今日のクラシック音楽』 指揮者ブルーノ・ワルター
私がクラシック音楽を聴き始めた頃の憧れのオーケストラ指揮者が3人いました。 アルトゥーロ・トスカニーニ、ウイルヘルム・フルトヴェングラー、そしてブルーノ・ワルターの3人です。 これら3人の発売されるLP盤の批評はことごとく超名演という謳い文句でリリースされていたのを覚えています。しばらくしてヘルベルト・フォン・カラヤンがクラシック音楽界を席捲するようになりますが、中学生の頃はこの3人の指揮者のLP盤を欲しくてたまらなかったことを覚えています。 この3人のオーケストラ演奏のスタイルは全く違うものがありましたが(当時は勿論そういうことはわからなかったのですが)、これら3人の中で一番最後に聴いたのがワルターでした。友人の家にあったべートーベンの5番のシンフォニーでした。 非常に温かい演奏で「歌」に溢れたベートーベンで、それまでに聴いていたトスカニーニの厳しい演奏や、フルトヴェングラーの激しい表現とは次元の違うところで音楽が流れているのを感じていました。 この時の最初のワルターとの出会い以来、この感想は今もって変わっていません。 ワルター自身が書いた著書「音楽と演奏」(津守健二 訳 番町書房刊)を読むと、非常に興味深い記述・彼の演奏感を知ることができます。彼は長い時間をかけて楽員を教育するやり方をおこなっていたのです。そして自らを「教育的指揮者」と呼んでいます。 つまり、リズムや旋律線、テンポ、カンタービレなどの指示から音楽の解釈に至るまで、どうすれば正しい演奏が出来るか、どうすれば美しい演奏が出来るかをいつも楽員に語りかけていたそうです。 その語りかけも常に楽員の気持ち・心を想い、出来る限り優しさの表われた態度で接していたそうで、この繰り返しが徐々に楽員に浸透していって、とうとう楽員の感情として音楽表現ができるようになったという意味のことを述べています。 彼自身の言葉によれば、こういう指揮者としての楽員との接し方は、専制君主のような強烈なカリスマ性に欠けるけれども、表現される音楽は温かい、生き生きとした自然な音楽の流れになったようです。 私が初めて聴いたベートーベンの5番シンフォニーは晩年のコロンビア交響楽団との録音で、こうした姿勢でオーケストラと接していたワルターの演奏芸術の仕上がりに、上述したような感想を抱いたのでしょう。 フルトヴェングラー、トスカニーニに比べて音楽の外見、表面に冷たさを感じさせない、普遍的な微笑を、聴く人に投げかけている音楽表現であり、決して厳しすぎない表現で、常に温かみと歌を感じさせる音楽でした。 また美麗なオーケストラ音楽の演出者であったカラヤンのように、その磨き上げられた美麗さ故の精神的なものを時として希薄に感じさせるようなこともなく、精神性の深い、ロマンティックな表現で見事な「再生音楽」を演出しようとした指揮者でした。 それらは、ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、シューベルト、ブラームス、ワーグナー、マーラーなどの音楽に如実に表現されています。これらの作曲家の曲をCDで聴いていますが、上に述べたことはどの作曲家・曲にも感じる、ワルターの最大の美点だと思います。 そのブルーノ・ワルターが1876年の今日(9月15日)、ユダヤ人の父とドイツ人の母との間で、ベルリンで生まれています。 愛聴盤 ベートーベン交響曲第6番「田園」 コロンビア交響楽団 (CBSコロンビア原盤 ソニーミュージック SRCR9966 1958年1月録音) ハイドン・モーツアルト・ベートーベン・シューベルト・ブラームス・ワーグナー・マーラーと手持ちのCDからあれこれ選んでみましたが、結局この1枚になりました。 ↓ ワルター ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 『今日の音楽カレンダー』 1867年 誕生 ブルーノ・ワルター(指揮者) 1922年 誕生 ジェシー・ノーマン(ソプラノ) 1945年 没 アントン・ヴェーベルン(作曲家) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ともの『今日の一花』 布袋葵(ほていあおい) 撮影地 大阪府和泉市 2005年9月13日 自宅から徒歩3分のところにある古池がこの「布袋葵」で池一面が覆われていて見事な光景を描いており、やっと花のすぐ近くで撮れるスポットを見つけて撮りました。 水葵科 ホテイアオイ属 浮き草の一種で葉は卵形。葉の基部がふくれてきて浮き袋になっています。 これを、布袋(ほてい)さん(七福神のひとつ)の丸いお腹にたとえて命名されたそうです。 紫色の美しい花ですが一日で咲き終わります。 池などの水の浄化に使われていますが、繁殖力が強くてこの池のように一面花で覆われて、結局水を汚すことになっています。2年に一度駆除しているそうです。 「布袋草」とか「ウォーターヒアシンス」とも呼ばれています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[クラシック音楽] カテゴリの最新記事
|
|