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テーマ:★イベントのお酒★(89)
カテゴリ:イベント & 旅行記
それはいいとして、連載2回目はLAPHROAIGのマスタークラス。 ロバート・ヒックス氏の絵は全然似てませんね。4000種類の香りを嗅ぎ分ける『Mr. Nose』の異名を持つヒックス氏、ウィスキーの香りから水源のさくら草の群生地を発見したというエピソードは彼のものだったでしょうか。まさに犬の鼻を持つ男です。Dog’s Nose?? テーブルには草の繊維の混じったピートと麦粒が置いてあります。ピートそのものはほとんど臭いがしません。 「お手許の麦芽の入ったビニール袋を開けて、匂いを嗅いでみてください」 と言われて、袋に鼻をつっこんでみます。すると、まさにラフロイグの香りがするのですっ!驚くほど直接的に。次にそれを噛んでみます。またまた驚き、あのウィスキーの麦芽の甘さが口の中にほんのりと広がってきます。ウィスキーは麦芽から造られるという、当たり前の事実を体感しました。 水源の小川の風景、小さなポットスチル、波にさらされる一番倉庫、プリンス・オブ・ウェールズの紋章、蒸留所をさまよう幽霊。そういえば、発酵槽に落ちて死んじゃった事件はLAPHROAIG蒸留所のことだったか。 ああ、ウィスキーが好きというだけでなく、LAPHROAIG蒸留所で働く人々もその風土も歴史もいちいち愛しくなるじゃありませんか。つまりこれが『ブランド』ってことでしょうか。ルイ・ヴィトンやグッチやフェラガモ…そうしたブランドを愛する女性達の気持ちもよく理解できます。 さて試飲です。Quarter Cask、10年、15年、Cask Strength、Specialと並んでいます。Quarter Caskのうっとりする甘さ、10年の親近感のあるヨード、そして15年はやっぱり腐界(『風の谷のナウシカ』)の海。そしてCask Strengthは… つるっ、あーっっ、ガチャーンッ! やっちゃいました。みんなが真剣に試飲する静謐な雰囲気を途中でぶちこわした迷惑なヤツは、実はこの僕です。ピートと麦芽とグラスとスケッチブックとボールペンなどがひしめき合うテーブルに、カスクストレングスのグラスを置こうとした時、手を滑らせてしまいました。グラスはテーブルから転げ落ち、お隣の人の太ももを濡らし、その方のライブバッグの中へ、そして見事にバッグの中のライブグラスに命中。 「す、す、すみませんっ、大丈夫ですか?」 「大丈夫、大丈夫、ちょっとウィスキーのいい匂いがついちゃいました」 と笑ってくださいました。優しいお方です。 「カスクですからね、匂いも強いが乾きも早い」 と返したくなりましたが、不謹慎と思われてもいけません。ぐっと我慢してまじめに謝りました。割れたグラスはもとに戻りませんから、代わりに僕のグラスを差し上げました。もしこの記事をみてくださったら、もう一度、 「ごめんなさい」 いやはや、動揺してしまいましたが、なぜか落としたグラスは割れず、中にはまだ少量のウィスキーが残っていました。これは不謹慎と言われようが残すわけにはまいりません。最後の一滴まで大切にいただきました。 さて、スペシャルは、な、な、なんと、2015年に200周年ボトルとして売り出す予定のウィスキーのサンプルだそうです。ボトリングする8年くらい前に、先取りして体験できるわけです。いままでのLAPHROAIGと何か微妙に違った風味がして、洗練されて上品な印象を受けました。売り出される時は一本20万円くらいするだろうとのことです。でも、なんだか素直に喜べない。だって、これからさらに8年も熟成したら、また違うウィスキーになっちゃうじゃないですか。それに、当然2015年に一番おいしくなる計画で造られてるわけでしょ。 メロンやラフランスをまだ硬いうちに食すようなものです。熟しきってからも食べられることがわかっていれば、 「まだ風味は十分じゃないけど、熟した時のおいしさが予想できるな、フムフム」 っていう楽しみかたもできますが、そんな高いウィスキーを買えるかというと、たぶん無理だし。 このとまどいを喜びに変えるためには、2015年のライブでもラフロイグのクラスに参加するしかないな… なんか尻切れトンボだけど、今日も酔っ払ってるからこの辺でサヨナラ。 以上、LAPHROAIG、607会議室からの中継でした。 次回は、土屋守氏が語るHIGHLAND PARK編をお送りします。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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