ここのところ、立て続けに日本関係のTV広告をアメリカのTVチャンネルで見た。

ひとつは東京都の観光誘致広告「Time Warp Tokyo」。
日本政府による観光誘致広告「Yokoso　Japan（ようこそ　ジャパン）」。
同じく政府による投資促進広告「Invest Japan」。
そして海上自衛隊の広告「Seamanship」。

東京都と政府の広告は24時間ダイジェストニュースを流し続けている
CNN Headline News チャンネルで、広告として流れたもの。
海上自衛隊の「Seamanship」は、2月27日の日記でも書いたように、
番組の中で“微笑ましい話題”として紹介されたものだった。

まず、東京都の「Time Warp Tokyo」は、鉄腕アトムのアップで始まり、
アトムがアニメで描かれた東京を飛び回る映像に重ねて、
東京とその周辺の写真映像が次々と重ねられていき、
「You can experience hundred years….」
「Beyond your imagination…. 」
などの声がかぶさり、最後に
“It’s an eye-opener.” “Discover! Tokyo”
とメッセージが現れて終わる。30秒。

海上自衛隊の　「Seamanship」 は渋谷の大画面で流れて日本でも話題になったとか。
海上自衛隊のホームーページから映像を見ることができる。

「Yokoso Japan」は「ようこそ」とホスピタリティを持って旅人を迎える日本の人々の姿と共に
小泉首相が「私は小泉潤一郎です。世界からみなさんをお迎えしたいのです」と英語で語っていく。30秒。　
（映像はここから　
小泉内閣総理大臣出演の外国人旅行者訪日促進ビデオ「ようこそ！ジャパン」
http://www.kanko-otakara.jp/vjc_cm/en.html）

そして、「Invest Japan!」。これはもう、説明の言葉がないのでとにかく見ていただきたい。
（映像はここから　JETRO　Invest Japan!　http://www.jetro.go.jp/investjapan/） なんと1分もの。



ここからは私の全くの個人的見解であり、この広告を制作された
制作者側の方々に文句を言うものではないことをくれぐれもお断りしておいて・・・

最初に見たのは東京都の「Time Warp Tokyo」。
見終わった時点では一体何の広告だかわからなかった。
東京都の広告だとわかったのは、もう一度この広告を見た時だった。
鉄腕アトムを使った映像は、さすがアニメ大国、きれいに出来上がっているのだけど
肝心の、潜在的な観光客を惹きつけるはずの各地の画像が
あまりにも早く、散漫に画面を流れていくのでどれも記憶に残らない。
したがって、見終わった時にこちらの記憶に残っているイメージは
アトムだけで、他には何も残らない。
観光名所も、TOKYOも、メッセージも何も残らないのである。

東京にはそれこそ日本で仕事をしているほぼすべての広告代理店がオフィスを構えているし
星の数ほど映像の制作会社もある。広告の企画や構成をできる人も山ほどいるはずだ。
日本で一番優秀な企画者・制作者の人口密度が高いハズの都市である。
その東京から出てくるものが、これか？
と、すると、制作の人材に問題があるわけではなく、
発注者側、つまり決定者に問題があるんじゃないのか、と思った。

次に見たのは海自の「Seamanship」。
これは日本でも「なんじゃこれ」とか「思わず編み棒を取り落とすほど」（ヨソ様の掲示板より）
見た人を驚かした広告だったようだが、目的は
海上自衛隊への役割や現状の理解促進として発表されたというから驚いた。
傑作なのは海自のプレスリリースでは、
『「愛」、「平和」をテーマに真剣な表情で規律正しく軽快なダンスを踊る』
と紹介されていたこと。このプレスリリースを書いた人の苦労を思うと涙が出そうである。

次に目にしたのは「Yokoso Japan！」
CNNをつけっぱなしにして勉強していたら、なんだかウチの国の首相の声が聞こえてきたから
なんだ、なんだ？と顔を上げたら、「ようこそ!」とやっていた。
この内容構成で、はたして首相が出てくる意味があるのかとは思ったし、
ホスピタリティのある国民性というコンセプトが、
アメリカ人が一般的に抱くステレオタイプな日本人のイメージとは大きく異なっているから、
はたして見ている人にわかるかどうかは疑問だったが、
一応メッセージははっきりしているし、映像や登場人物の各コマの
間合いも切り替わりもタイミングが良く、わかりやすいと言えばわかりやすい。
全体的には「まぁ、これもありかも」と思った。

（続く）