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CBCはCanadian Broadcasting Corporationの略。日本のNHK,イギリスのBBC、アメリカのPBSといったところだろうか。カナダ国境に面しているからか、このCBC放送もケーブルTVのチャンネルラインアップの中に入っていて、ごく普通に見ることができる。しかもアメリカのネットワーク局と並びのチャンネルを占めているから、アメリカのネットワークNBCを見ていて、CMタイムにチャンネルを変えてCBCを見ているということも当然のようにある。
日本で言えばフジテレビを見ている合間にCCTV(中国中央電子台)にチャンネルをまわすようなものだけど、この場合は言葉が違うから、そう簡単に内容を楽しむとはいかない。カナダもフランス語と英語が公用語だが、このチャンネルは英語で放送されているから全く違和感がない。 このCBC、私にはその落ち着きぶり、報道の客観性、ガチャガチャしてないという点から言って非常に心地よく、お気に入りのチャンネル。TVをつけっぱなしにしている時はたいていはCNN Headlineだが、疲れてくるとCBCにスイッチ。そのまま一日中CBCのままということも珍しくない。 まったくの私見で`、調べたり勉強したことはないが、カナダとアメリカの間には、その国民性やら文化背景の点から言って大いに違いがあるように思う。私にはカナダの方が断然心地よい。少なくともTVで見たり、ちょっと旅行してみた限りでは。住んでいるわけではないから、隣の芝生が青いだけかもしれないが、基本的にカナダの方が地に足がついているし、私の常識感とカナダ人の常識感の方が、アメリカ人の常識感よりも近い気がする。 特にメディア報道に関して言えば、9/11以降のアメリカの画一的報道論調には本当に辟易としているから、カナダの客観的な報道(なんせ当事者ではないから)を見るとホッとする。少なくとも世界全部がアメリカみたいにワンサイドではないのだ、と実感できるからだと思われる。ちなみにCBCはBBCニュースも流してくれるし、フランスをはじめヨーロッパの論調なんかも紹介されたりする。よりヨーロッパと関係が近いからと言ってしまえばそれまでだが、少なくとも「外の意見」を聞く耳を持っているだけアメリカの報道よりマシだ。 アメリカのメディアは本当に「外の意見」やら動向を報じることがない。日本の友人たちにこの状況を説明するといつも意外に思われるようだが、たとえばアメリカの30分の全国ニュース番組を見たとして、アメリカが当事者として直接関わっているアフガン・イラクの件以外で海外のニュースや動向が報じられることはほとんどないように思う。 典型的なラインナップは、“アメリカのやってる戦争の話”、“アメリカのやってる戦争の話に関する国内の話題”、“国内のビジネス関連ニュース” “国内のその他の社会問題(たいてい薬か肥満問題、それから教育問題)”以上!! 世界情勢から始まる日本のニュースが懐かしい(涙)。 このアメリカでぼーっとしていたら、簡単に、世界で何が起こっているか全く知らずに暮らすことができてしまう。そりゃぁ、日本という国は資源もないし食料自給率も低いから、世界情勢に目を配り、最低でも輸入と輸出がうまくいくように日夜努力していないと明日が生きていけない。したがって、常に世界の動向を知らねばならない、という脅迫感があるのだと思う。 一方アメリカの場合は、何にも知らなくったって干上がるということがないから、たとえば30分のTVニュースの枠の中で、よその国の話をするという必然性がない。したがって全くお構いなし。実際的にとか、効率的に考えればそうなるというところなのだろうが、これだけ良きにつけ悪しきにつけグローバル化が進んでる世の中だ。「よそのこと」にだって関心をもつべきだし、そうしてこなかった事が、今の非常識なアメリカの海外政策につながっているのではないのかしらん。 すごいと思ったのは、昨日調べていたデータ。The Pew Research Center for the People and the Pressが3月16日に発表した調査によれば、イラク戦争におけるアメリカの動機について、「中東のオイルでしょ」という項目にYesと答えたアメリカ人はわずか18%であるのに対し、その他の調査国、ロシア、フランス、ドイツ、パキスタン、トルコ、モロッコ、ヨルダンでは約50%以上が「その通り!」と答えている。 「世界支配がしたいから」「反米ムスリム政府を叩くため」という項目でも、アメリカではたった13%がYesと答えたのに対し、その他の国々ではやはり約半数が「そのために戦争起こしたんだろ!」と答えている。(かなり感情的な主観に基づく訳なのでご了承を。あ、でもデータに嘘はないですよ)(A Year After Iraq War Mistrust of America in Europe Ever Higher, Muslim Anger Persists) )(グラフそのものはこちら。こっちの方がオモシロイです) この認識のギャップたるや!!しかも、もっと凄まじいのは、この事実を多くのアメリカ人は知らないし、気にもしていないように見えることだ。有識者や宗教家、グローバル企業を中心に「アメリカがこんなに嫌われているのはやっぱヤバイ」という風潮がようやく生まれてきてはいるけれど、決してメインの論調ではない。くり返しになるが、だって気にしなくったって国が滅びるとか、先行きが立ち行かないという切迫感がないのだもの。 というわけで、アメリカの報道ばかりを見てるとおかしくなりそうだから、カナダのCBCを見てるとホッとするということらしい。 これって自己防衛本能だよなぁ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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