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*[浦島タロ子記・2004年夏]
ルームメイトにライドをしてもらってLansing空港へ。昨日、一昨日と2日間で計10時間ほどもドライブし、お疲れの見える彼女に、また朝から運転させてしまって気の毒だったのだが、『今日は誰が何と言おうと絶対に仕事を休む。先週からずーっとそう言っているんだから』と宣言している彼女。『だから、ライドくらい問題ないわ。その後昼寝するから。』と言ってくれていた。彼女のラボの中では今や一番のSPSS使いになっている彼女を、部下をとことんこきつかう彼女の教授がほっておいてくれるかどうか。 さて、Capital Airportと銘打つわりには、こじんまりとしたLansing空港。Grand Rapidsの空港の方が大きいし、国際空港で、NorthwestのハブになっているDetroit Airportなどは比較にならないほど大きい。したがって、カウンターの待ち時間もほとんどないし、荷物検査で列を作ることもない。空港スタッフも何人かはもはや顔見知りだったりもする。こういう時には、田舎暮らしもいいよな、と思う。 Lansing-Detroit間のフライトは実質たったの20分。あっという間にDetroitへ到着する。夏休みだけあって、いつになく家族連れの姿が目立つ。ここでの待ち時間は約4時間。まずはアメ食を食べおさめ、とばかりにChiji’sへ。いや、メキシカンだってね。 アメリカに来てから思ったことは、『 “アメ食”ってなんだ?』 いわゆる街の定食屋さん的素朴なレストランで出しているボリュームオムレツやパンケーキ、ハンバーガーやサンドイッチがいわゆるアメ食なのかしらん。アメ食まずい、としょっちゅう愚痴ってはいるが、そういう街の定食屋さんのメニューは、本当にお惣菜的で結構おいしい。東隣町のWilliamstoneにも、南隣のMasonにも朝6時からオープンしていて、夜8時には閉まってしまうような定食屋さんがあるが、どちらも気が向けば出かけていきたくなるような店である。 でも、そういう店でもかなりのメキシカンメニューがまじっていて、人気だったりする。街で流行っている店はたいがいメキシカンかアジアン。中東人人口の多いミシガンでは中東料理屋もなかなかの人気。インド料理店もいつも結構人が入っているし、イタリアンは言わずと知れたところである。そういう異文化色がない、いわゆるアメリカンとすれば、バーかファーストフード、もしくは先の定食屋さんくらいだろうか。アメ食ファミレスチックなApple Beesなんかでもメニューの多くはメキシカン系だったりするし。 先日仕事の帰り道に、同じく日本へ一時帰国する同僚のS女史と一緒に、日本に帰ったらまず何を食べるか、という話になったのだが、沖縄人の彼女もやっぱり『寿司かなぁ』と言っていた。なんで他の和食でなく“寿司”なんだ、というのにはまたいろいろ想像もあるのだが、ともかく非常に日本っぽいものが食べたい、と思う。これがアメリカ育ちのアメ人の場合は、海外生活が長くなって母国に帰るときに、何を食べたいと思うのだろうか。それとも、そもそも食生活に比較的重きをおいていない文化だから、そういう思考そのものがないのかもしれない。 なんてことをボーっと考えながら、Chiji’sのバカデカイChicken Creaser Saladをほとんど平らげてしまった。恐ろしい。 2年11ヵ月前、初めてアメリカ本土に上陸し、乗り継ぎのサンフランシスコ空港のカフェで出てきたスープのでかさに驚き、こんな量を誰が平らげるんだ、なんて思ったものだが、そういうアメリカ尺度にも、いつの間にか驚かなくなってしまった。 カルチャーショックのステージを一つ一つ経て、自分自身は適応段階にいるんだと思うが、にもかかわらず、日ごと年ごとにこの国にはあまり長いこと居てはいけないという危機感が募る。昨日のCharlie Roseのインタビュー相手はテッド・ターナーだったが、今は環境問題に注力している彼は声高に『アメリカは世界のどの国よりも資源を浪費している国なんだ』と何度もくり返していた。今さら・・・ってなコメントだが、そんなことは思いもよらないアメリカ人がゴロゴロしているのだから、無理もない。この国では、食べ物だけでなく多くの消費財について、捨てることを前提とした量を提供・供給し、しかも捨てる時には分別収集なんてほとんど存在せず、なんでもかんでも一緒に捨てる。かろうじてボトル返金のあるビール瓶やアルミ缶のみがほんのいくつかの州でリサイクル回収され、あとは電池でも瓶でも缶でも割れ物でもなんでも、一緒くたに捨てるしかないのだ。 とにかく、日常生活のいろんな活動がやたらと“地球に厳しい”上に、厳しいことをしてる、という感性が欠如している。日本人としては抵抗感だらけなのだが、これが月日を経るにしたがって、その安易さに自分自身の感覚も麻痺するのではないかと不安になる。これは、環境問題だけに限らないだろうとも思う。信念が強い人はどんなに長くいても大丈夫なのだと思うが、生来が勤勉でなく、easy goingな私は自分が恐ろしい(苦笑)。それゆえ、この国にはあまり長く居てはいかんな、と思うのだ。 などとダラダラ考えているのは、今デトロイト空港で飛行機が遅れているからである。15時30分出発のはずが、4時5分になり、今英語と日本語でお詫びの放送が流れている。私の向かいの待合席に座っている母と子ども3人の親子連れは大阪で乗り換えて沖縄まで行くのだそうだ。軍関係者の家族とか。10年前と去年も沖縄に行ったから、今回が3度目の訪問だと言っている。しっかりした、気遣いもあるお母さん、待ちくたびれつつある子どもを遊ばせながら、大阪での乗換えが1時間しかないことを心配している。『関西空港のホテル、高いものね』と意気投合したりして。 そういえば、日本経由で台湾まで飛ぶ便だけに、なんとまぁアジア人の多いことか。当たり前なんだけど、ちょっと新鮮である。なんせ太平洋を飛び越えるのはまだ2回目の経験だから、臆病者としては、実は結構不安だったりする。先ほど相方に電話して出発を知らせ、『万一の事があったらこれで最後の会話になるかもしれないじゃん』なんて軽口を叩いたらマジで怒られた。 出発時間の正式なメドはまだ立たないようで、情報がアップデートされない。『まったく“Northwest Worst west”』なんだからぁ、と思っていたら、遅れるのも悪いことばかりではなかった。たった今、土曜日に送り出した完全帰国する生徒の一人が、お姉さんとお母さんと一緒に通りかかって声をかけてくれた。Iくんがムービングウォークの上から私が待合席の隅に座ってコンピュータを叩いているのを見つけて、わざわざ降りて声をかけに戻ってきてくれたらしい。彼らは名古屋へ飛ぶフライトに乗るのだとか。デトロイトで一緒になるかもね、と話していたのだが本当に会えるとは!これで、飛行機が遅れたことには文句を言わない。もう“Worst west”なんて言いません(って去年も思ったような気がするけど)。 さて、まだ優に一時間以上あるから、電源が使えるうちに雑用片付けをしようかな お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
July 28, 2004 11:47:45 AM
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