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February 1, 2005
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メルマガ・出たきり邦人315号に掲載していただいた原稿です。
***************

〓アメリカ・ミシガン発〓
道草みのむし三十路のみしがん
第17回★“全ての中心地”オハイオへ

クルマを走らせていた州道路はオハイオ州へ入ってすぐに、デトロイトを通って南へ伸びてきた高速国道のI-75号に合流。さらに5分も走った頃にツーリスト・インフォメーション・センターのサインが出てきた。

家を出発してからちょうど2時間、約200km強走ったところだから休憩することにして、その何のへんてつもないインフォメーションセンターの前にクルマを停めた。そして、そこにあったグリーティングメッセージの看板を見上げて思わずニヤニヤッ。

六カ国語で書かれた“オハイオへようこそ”のメッセージは、英語では「Welcome to Ohio. The heart of it all.」 ドイツ語やスペイン語で訳されたメッセージは「アメリカの中心へようこそ」と訳されているのだが、日本語翻訳だけなぜか「オハイオへようこそ。すべての中心地」となっているではないか。 

おぉ、オハイオは全ての中心かぁ!と思うと、この足かけ4日間のオハイオ訪問も俄然重みが増すというもの。先の大統領選で、結果的にオハイオ州がキングメーカーになった事は周知のとおりだが、“すべての中心”だったとは?!

と、冗談はさておき、実際オハイオ州は、ウィスコンシンやミシガンの南部、イリノイやインディアナ、アイオワやネブラスカ、カンザスなどと共に“ハートランド”と呼ばれる地域の一部。アメリカの地理的中心部から五大湖の南部にかけてのエリアはアメリカ国内で最も人口の多い地域であるだけでなく、最も稼いでいる農業地帯、工業地帯でもあるそうな。

このハートランドの東端に位置するオハイオ、確かにアメリカの自給自足を支える重要地帯であることは確かである。国内産業のみならず、日本企業もこれまでに300社以上が進出している盛況ぶりで(オハイオ州政府による集計)、日本人在住者も相当数いる。また、全米で、うちの大学よりも大きな州立大学と言えばオハイオ州立大学くらいなもの、という具合い。

そんなオハイオ州だが、観光に行くようなところではないから、隣接州ミシガンでの暮らしがもう3年半を超えようかという私でも、これまで“通った”ことしかない。東のワシントンD.C.まで、或いは西のシカゴまでクルマで往復した時に、高速道路上を“通りすぎた”ことがあるだけで、滞在したことはなかった。

そもそも、この辺りを中西部(Midwest)と一口に言っても、その範囲はミシガンやオハイオを含む10州に及び、面積は日本国土のざっと4.6倍にもなる。方角によっては州外へ出るにも何時間がかりのドライブだから、ミシガンで学生生活をしている程度の行動範囲では、中西部の中でも行ったことのある土地はほんのわずかなものだ。まして工業・農業州ではあっても、観光州ではないオハイオには縁がなかったのだ。

今回のオハイオ行きも観光や学会ではなく、昨秋からオハイオで勤めている友人が手術をすることになったので、その付き添いをするためである。手術は難しいものではないし、そもそもが気丈な人なので、何ら心配したようなことはないのだが、こんな時は日本人同士で助け合ったほうが何かと気楽なもの・・・というのを口実に、なかなか訪れるチャンスのないお隣の州に滞在してみようというところ。作業中の論文の資料と今週のクラスの宿題もトランクに積み込んで小旅行へと出かけてきたのである。

さて、冒頭のインフォメーションセンターで友人の住む街の地図などもゲットし、再び高速国道I-75を走り始める。このI-75は、ミシガンの最北端・カナダとの国境から南はアメリカの南端フロリダ州の半島の先まで、約2840kmを縦断している道路である。

道路の長さからいけば、アメリカを東西に横断するI-80(約4600km)やI-90(約4800km)には及ぶところではなく、アメリカ大陸的尺度で行けばたいしたことはない。にもかかわらず、なぜか全米で62ある高速国道の中でも、3番目に高額費用のかかった高価な道路だという。日本ほどトンネルがあるとも思えないのになぜだ?

ここで、何の脈絡もなくアメリカと日本比較トリビア~。日本の高速道路は全長6,915kmであるのに対し、アメリカの高速国道は全長74,030km。一方、さすが山のないアメリカ、高速道路上のトンネルの数は全米でもたった104ヵ所なのにたいし、日本の高速道路上のトンネルの数はなんと708ヵ所!! ヘェ、ヘェ、ヘェ、ヘェ・・・(と、自分で“ヘェヘェ”ボタンを叩きまして) 確かに今回のミシガン-オハイオ間の片道450kmドライブでも、トンネルはただの一ヵ所もなし。このあたりがいかに山らしい山のないところか、このことからも想像していただけるだろう。

距離的には結構あるといっても所詮は同じエリアのお隣州のことで、オハイオに入ったからといって、ミシガンとの違いを感じるというようなことはなかったのだが、唯一ハッキリした相違点は高速道路の法定速度。ミシガンは70マイル/h(112km/h)なのだが、オハイオ州に入ったとたん65マイル/h(104km/h)になって気を遣った。ちなみにこれは、GMやフォードなど自動車産業を擁するモーター・ステート・ミシガンが例外の部類だそうで、65マイル/hが主流なのだと、後から友人に教えてもらった。

4時間半走って、早や冬の夕方に差しかかる頃、オハイオ州最大の都市コロンバスから30分ほど離れた、人口6.5万人ほどの小さな街に到着した。1799年から移民が住み着き始めたコミュニティだというから、私の住んでいる街より半世紀以上歴史が古い。街の中にはビクトリアン・スタイルの古い住居郡がそのまま残されている通りがあったり、荘厳な石造りの教会塔がそびえていたりといい雰囲気。ただ、友人の話によれば、こんなに小さな街でも街の北部と南部では住人の所得差が歴然としていて、雰囲気も随分違うのだそうな。

音声学が専門のこの友人に言わせると、ミシガンとオハイオでは言葉の訛りにも違いがあるそうだが、私のなんちゃって英語レベルでは、ニューヨークやD.C.へ行った時ほどのショックもなく、ミシガンと基本的には変わらないコミュニケーションにのびのび。450kmといえば東京-京都間くらい離れているとあって、さすがにオハイオの方が寒さもマイルドなことを除けば、他にはとりたてて文化の違いも感じず、それから4日間のオハイオ生活を楽しんだ。

ところで、話は今日のタイトルから大きく逸れるが、“カルチャーショック”と言えば、付き添った友人の手術にまつわる経験の方がはるかにインパクトが大きかった。友人の手術は、簡単とはいえ全身麻酔をしてお腹にメスを入れるもの。にもかかわらず、看護婦さんは「手術は午後1時からだから、当日11時45分頃までに手術センターに来てくださいね」と説明してくれちゃうお手軽なプロセス。

国家サポートの健康保険制度がなく医療費が高いためか、それとも根本的に考え方が違うからか、アメリカではできるだけ入院をしないように医療が組まれているように思える。この国では、出産直後のお母さんでも翌日、遅くとも翌々日には退院・帰宅させられるのは日本でもよく知られた話だが、お腹を切るような手術でもその感覚は変わらない。

さらに私を面食らわせたのは、こうして手術前1時間半くらいのタイミングで病院に到着した患者さんに、何枚かの書類が渡される。要は手術承諾・了解書なわけだが、その内容がさすが訴訟社会アメリカ。なになに・・・

『輸血が必要な場合は輸血をするが、その時に使用された血液が汚染している可能性もあり、それによって血友病に感染する可能性があることを理解、了承する。云々』

ナ、ナ、なんともストレート。『血液が汚染している可能性がある』とか言うなら使う前にちゃんと調べてくれよ!と思った後はただ絶句。また、こんな怖い文言を、もうすぐ麻酔をかけられようかという患者に読ませるとは、なんとも配慮のないことだと、思わず、書類を読み進んでいる友人の横顔を窺ったりした。ちなみに滞米生活が10年になるこの友人は、動じた様子もなかったのだけれど。

さらに驚かされたのは手術後。手術終了後1時間で麻酔が切れて目が覚めた友人に、看護婦さんたら『喉が渇いてるでしょう。何か飲みものを持ってきましょうね。何がいいかしら。ライト・コーク?それともスプライト?』と聞いたものだ。タ、タ、炭酸飲料を勧めるか、普通?! が、炭酸飲料が水の次に日常的な飲み物になってしまっているこの社会では、おそらくごく普通の感覚なのだろう。

極めつけは、“脂肪分の多い食べ物”と“ライト・ミール”の定義の違い。「2週間くらいは脂肪分の多い食べ物は避けて、ライト・ミールを食べた方がいいわね」と看護婦さんに言われた友人。懸命にも「その“脂肪分の多い食べ物”ってどの程度のものを指してるの?」と質問した。

ちなみに私たちの日本人感覚の中では“”脂肪分を避けよ“と言われれば、野菜のおひたしは問題ないけど、野菜炒めはヤバイのかな、というレベル。ライト・ミールと言われて最初に思い浮かべるのはおかゆだ。これは後日、爆笑しながら私の見聞録を聞いた韓国人のルームメイトが、韓国人感覚でもライト・ミールとはおかゆや海藻スープのことだ、と証言していた。

が、この国の文化ではその定義は違うのだ。果たして彼女の質問に答えて看護婦さん「そうねぇ、たとえば今夜はフレンチフライは食べない方がいいし、明日もピザはやめといたほうがいいって感じかな」、ときたもんだ。はァ?! 友人は、大好きなトーストパンにバターやジャムを少量塗って食べてもいいかどうかを確認したかっただけなのだ。フレンチフライやピザなんて、思いもしなかったシロモノ。どうやらアメリカ人の看護婦さんやお医者さんが言う“ライト・ミール”とは、東アジア人の通常食にあたるらしい。いやはや、所変われば・・・である。

手術が無事終わった翌々日、随分回復した友人を残し、再びミシガンまでの450kmをドライブして帰宅した。先々週末は数時間で30cm以上積もる雪嵐に見舞われ、気温もマイナス20℃を超えたミシガンだったが、その後寒さは少し緩んでこの日は快晴。青空を満喫しながら、プチ・オハイオ体験旅行を終えたのだが、冬はまだまだ、少なくともあと丸まる3ヵ月は続くミシガンである。

Pupa





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最終更新日  February 3, 2005 04:07:30 PM
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