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カテゴリ:似文化異文化奇文化
4月12日 火曜日 2週間前に、「今週は多少は余裕があるはず」などと甘い考えで、ヘアカットの予約を今日にしてあった。 その考えはホントに甘かったのだけど、いつもカットしてもらっている理髪師・Tさんの予約をとるのは大変なので、がんばっていくことにする。 東南アジア人のTさんは、年明けから新しいヘアサロンに移った。年末にカットしに行った時に、新しいお店の電話番号などをもらってあったから、今日はその新しいヘアサロンへ行ったのだ。 前のヘアサロンも悪くないところだったけど、新しいお店は清潔だし明るいし、しかも設備がよくてとってもいい感じ。年末に、Tさんが店を移ることを教えてくれた時に、「(今度の店は)設備がよくて、いろんな新しいこともできそうだったから移ることを決めたんだ」と話していたけれど、ナルホドである。 適度に愛想も良くて、その辺もプロの理髪師さんなTさんは、とってもニコニコしながら出てきて「Pupa、よく来てくれたねぇ!」と言いガッチリ握手してから、席へ案内してくれた。いつもTさんは私にヘアカラーやらなんやらをしたがるのだけど、私はガンとしてカットしかしないので、彼ももう諦めて奨めない。「いつもと一緒・・・なんだよね?」なんて言いながらカット開始。 「本当にいいお店ねぇ。ここで働くの、素敵でしょうね!」 と言うと、そうなんだよ、と嬉しそう。彼はこの店には請われて移っている。この店のオーナーが前の店で働いていた彼に電話してきて、引き抜いたのだ。彼の技術とプロっぷりを考えれば不思議な話ではないけれど、より大きくて人気のある店からの誘いだから、いわゆる出世である。 それにしても、年末に前の店で、カットしてもらいながら彼がお店を移る件を話している時から思っていたのだが、彼は前の店の中で、大っぴらに店を移る件を話していたし、前の店の人々も別にそれを気にとめる風も、眉をひそめる様子もなかった。私が帰るときにも、はばかる様子もなく、移る先の店の連絡先をくれたものだ。私の日本人的感覚では、エッ、いいの?ってな感じだったものだ。 彼が前の店で、他のヘアドレッサー達との比較ベースでどのくらい集客力があったかは知る由もないが、“明日の予約を入れる”などは不可能な程度には人気があったから、前の店でも惜しくなかったわけではなかろうと思われる。事実、今日聞いてみたら、私同様、彼のロイヤルカスタマーは、ほとんど新しい店にスイッチしてしまっているから、前の店でもダメージがないわけではない。その辺のコンフリクトはないのかしらん。 「う~ん、僕が店のために働いてる立場だったらそういうこともあるかもしれないけど、僕はいわば自分のために働いてるっていう感じだからねぇ。」 というのが、Tさんの回答。要するに彼はフリーランスの理髪師さんのようなもので、彼を抱えたがるお店を拠点にしてビジネスしてるってことになるらしい。だから、前のお店でも惜しがってくれたそうだが、より大きくてモダンな店からの誘いということで、喜こんでもくれたそうな。 一時間弱でカット終了。いつも通り仕上がりはバッチリ。やっぱり、アジア人の髪はアジア人の理髪師さんじゃなきゃなぁ。ストレート黒髪の客のカットが珍しいのか、お店の他のスタッフも通りかかっては仕上がりを見ていく。手鏡でバックも確認させてもらいながら 「Tさん、東京へ来ないの?最近東京でもノン・ジャパニーズのビジネスマン増えたから、英語が出来て技術の確かなヘアドレッサーはきっと重宝がられるよ。カットの単価も高いしね。」 なんてふざけると、 「いやぁ、実家(カンボジア)にも近いし、いいかもねぇ。東京では給料がいいと聞いたこともあるよ、でも生活費もとっても高いじゃない(笑)」 以前に、あなたならN.Y.とかChicagoでもやっていけるんじゃないの?と聞いたら 「僕は、モデルさんを綺麗にするよりも、普通の人をモデルさんのように綺麗にする方が好きなんだよ」 と言っていた彼だから、東京には来てくれなさそうだ。 また7月に来るね、と約束して店を出た。夏以降、どこへ行くことになるのかいまだに皆目見当もつかないが、海外にしろ日本にしろ、また彼のようないい理髪師さんを見つけるのは大変だろうなと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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