告白
我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。第29回小説推理新人賞受賞作。 |
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【内容情報】(「BOOK」データベースより)
愛美は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。第29回小説推理新人賞受賞。
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
湊かなえ(ミナトカナエ)
1973年広島県生まれ。武庫川女子大学家政学部卒。2005年第2回BS‐i新人脚本賞で佳作入選。07年第35回創作ラジオドラマ大賞を受賞。同年「聖職者」で第29回小説推理新人賞を受賞し、『告白』がデビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ちょっと前に読んだ本です。
本屋大賞を取ったということでまた読みなおしました。
結構一気に読めます。
本当は第1章だけの短編小説だったそうですが、その後続きを書かれたそうです。
なるほど、第1章は一番衝撃的です。
中学1年生、学年最後のHRの時間、先生の最後のお話。
どのエピソードも伏線で、牛乳があんなことになっていたとは。
章ごとにそれぞれの登場人物の告白、という形です。
なのでところどころ時間が前後しますが、同じ出来事がそれぞれの立場で語られると
こんな風に感じ方が違うのね…という、多少羅生門風なところも。
(出来事自体は同じで感じ方が違うということで、”多少”、です。)
全部「告白」なので、「対話」じゃないので、
孤独な人物の思考は一度ねじまがると修正されず、突っ走ってしまう。
それが思い違いであっても…
思い込みが激しいのって、やっぱり危険よね。
心の弱い人って、つらい現実を直視できずに、自分に都合よく考えてしまうものなのね。
そうして自分を守っているのでしょう。
でもそれが他人への攻撃へと変化し、悲劇が生まれます。
この小説の悲劇は大きなものだけど、現実にも似たようなトラブルはたくさんあるんじゃないかな。
特に、犯人が男子生徒2人ということで、その母親のことが気になりました。
2人ともすごく極端な人物像なんだけど、自分も似た部分を持っているのかしら。
そして、あまりに父親たちの存在感のないところもこわい。
シングルマザーじゃないんですよ!
そして思春期の子供が読んだらどんな感想を持つのだろう?と思います。
歴代の本屋大賞受賞作品は映像化されているそうですが、これもいつかは…?