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右と左・・・これは意外と色んな話があるなあ・・と。
というのも、昨日、大昔に描いた私の絵(鏡絵)なんですけれど、これがまた、しょうもない間違いをしていましたのが明らかになりまして、パルミジャニーノに笑われるなあ(ハナにもひっかけないよ~♪)。 鏡に映った画像を描いた・・ということになっていたのに、そうではなかった斉藤実盛の絵です。 どこがどう違うか・・というと、ズバリ、鏡絵になっていなかったのですね。つまり、鏡に映った画像なら、着物の合わせが逆(つまり左前)になっていなければならない。で、修正をしようとして、ふと思いついた。 前に、あるタレントが自分の着物姿の写真をブログにUPするのに、ついうっかり左右反転して載せてしまった(ということになっている)ので、左前になったんですね。 これで、「常識がない!」とか「死人になりたいのか」とか、いろいろ悪口を言われて炎上したという話がありました。 ということで、単に私も画像を反転してみた。 ところが、これがビミョ~に違う。顔つきが別人になってしまう。まあ、私の絵だから、そう大したことないんですけど、真正面の顔を描くのがヘタってことを露呈してしまった!! やっぱり、右利きの呪縛にとらわれているのですね。 ↑わかります? 向かって右が反転画像です。自分自身が気に入らん顔なんですよ。(あんまりかわらんかったなあ・・・) ということで、本編は反転画像ではなくて、元絵を修正しました。 よりよくわかるように、筆を書き入れました。髪、髭を染めているので、不足なところを、ちょいちょいと最終修正している・・という設定です。今だと、マスカラブラシの親分みたいなの売ってるじゃないですか。あれの気分です。 そもそもは、若作りのために赤い直垂を着ようとしているところを描いたのですが、イマイチ手つきがヘンになって意味不明だったので、顔部分を丸く切り取って、鏡にしよう! と思い付きで、くるって切り取っちゃってできたイージーな絵だったんです。お詫びに五姓田芳柳の「斉藤実盛染鬚図」を貼っておきます。↓これです。 明治23年頃の作品です。 ところで、人物の顔の絵を描く時は、右利きは向かって左向き(鼻が左向いている絵ー本人からは右向き)の顔が描きやすいし、左利きの人は、反対向き(鼻が右むいてる)が描きやすい。 だから右利きの私が、向かって右向きの顔(鼻が右向き)を描く時は、下書きを裏返して、透かして見てヘンかどうか確かめます・・・で、適当なところで妥協する。 プロの画家は練習するので、どっち向きも描くのですが、レオナルド・ダヴィンチほどの天才画家でも、デッサンの斜線の向きによって左利きってことがわかるらしい。そういえば、彼の自画像は向かって右向き(本人からは左向き)ですね。 しかし、日本の古い肖像画の世界では、向かって右向きが想像画で、向かって左向きは写生とかいう説もあるし、禅宗の高僧の絵は生きている人は向かって左向き、死後追悼絵は、向かって右向きという話もあります。 その説を適用すると、伝頼朝像は、死後に想像で描かれたもので、信長像は実写ということになりますが、意外と、そうではありません。 信長のは一周忌に描かれた追悼絵です。 戦国時代の肖像画は沢山あって、追悼絵も多いのですが、あっちむいたり、こっち向いたりしていて、一概に言えない。人気?の人物は、元になる絵があってそれを写すということもあるので、その元絵が、写生なのか想像画であったかはわかりませんが、信長像は生前のものと断定されるものは一つもないということですが(あの宣教師が描いたと言われる絵は・・・)、どれも、微妙に顔つきが違いますね。 また、伝頼朝像が、足利直義だとする説によると、この絵は直義39歳の時に描かれた寿像(つまり生きている人の絵)ということになります。 ところで、鏡に映ると、着物は左前になり、死に装束になるのですが、左前が「不祝儀」になったのは、凶事の非日常の演出だと思います(袱紗の包み方も祝儀は右前で、不祝儀は左前で着物と同じなんですよね)。 もともと、北方民族の装束の影響を受けている古墳時代の衣装などは左前ですし、高句麗の壁画でも、左前があります。こちらは中国の影響が大きいので、早くに右前になったんでしょうね。日本の着物の衿合わせは、かなり長い間、左前だった可能性が高いです。養老3年に「天下百姓右襟」つまり、国民はみな衣服の合わせを右前にするという命令を出しているので、高松塚の壁画の人物が皆左前なので、この壁画の描かれた時期(すなわち、古墳の被葬者の死亡時期)の特定に、関連するわけですが、高松塚の御話は、また改めて・・・。 で、今回の鏡絵の誤りを「発見」して下さったのは、とても面白いブログ「和装組曲♪」をやっていらっしゃる雲流柳さま。着物まわりの御話や、日常にある日本の伝統なども美しい写真で見せて下さいます。 こちらも、よろしく。 座乱読後乱駄夢人名事典 絵置き場。旧HP「座乱読ーザ・ランドック」の歴史上人物2000年描きの後‥少し停滞・・・。 座乱読ー別荘ー 漫画をおいています。今は、高師直が主人公?の「足利家の執事」連載中・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2019.05.23 12:04:43
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