カテゴリ:歴史・本など・・
三好政権をやってると、どうしても、この人が主役になってしまうかも。
松永久秀です。 誰のイメージでも、「爆発だ~!」というのが印象的過ぎて、強烈な最期と、陰険極まりない策略を用いて、主家を裏切り、将軍を陥れ、天下人信長に抵抗した、華麗なる極悪人‥という感じかも。ですが、この本を読むと、松永久秀親子の波乱万丈に、時代の過渡期を力いっぱい生きた姿が浮かび上がります。 「松永久秀と下剋上ー室町の身分秩序を覆すー」(天野忠幸・平凡社) 出自も定かでないので、在地の土豪であろうということですが、いいではないですか。 むしろ、系図をでっちあげて、どっかの源氏の末裔とか、平家の一門とかにつなげようと、こそこそする田舎武士より、よっぽど潔い。 どっちにしても、ローカルな話ですが、出身地も活躍場所も、現在の阪急京都線の範囲。 神戸の滝山城の城主だったこともあるけれど、滝山城は、現在の新神戸駅の裏側ということになっているから、阪急神戸線で行こうと思えば行ける。 主君の三善長慶が居城にしていた越水城は西宮神社の裏だし・・(あ、西宮神社は、阪神電車のほうが近いですが・・)。 それが、まあ、三好政権が近畿地方のいわゆる「天下」をしろしめることになって、三好長慶も、阪急沿線の芥川山城を出て、飯盛山城というJR学研都市線に、松永久秀も、近鉄沿線に進出。 どの時代でも、新規出店はなかなか、在地の実力者との拮抗が大変ですよね。 おざっぱに言ってしまえば、三好長慶にしたって、松永久秀にしたって、天下を安定させたかったわけですし、それについて、足利将軍の義輝君が、まあ、素直に納得してくれれば、よかった。 しかし、義輝君の方にも言い分があって、あちこちの地域の有力者がたくさんいるのだから、それらの力をうまく統合して、なおさらに皆を納得させるなんて行かないのだから、いろんな実力者を、その都度、うまく操縦して、渡り歩かなければいかない。 でもまあ、今や、剣豪将軍なんて、人気のある(ある意味悲劇的な最期がそれを後押ししている)キャラの足利義輝も、なかなかの陰険策士です。ちっとも大人しくない人物なので、彼の暗殺は、三好義継たちが「御所巻」のつもりが、行き過ぎて将軍殺しにまでになってしまったとかいう説もあるそうですけど、この人にしたって、義教さん(唐突になぜ義教かというと、この人も殺された)にしたって、取り囲んで要求を突き付けて、「お前たちの言い分は、わかった」と言って、大人しくなるような性格じゃないと思う。 それにしても、松永久秀は将軍殺しまでやるつもりはなかったと思う。すぐに、一乗院パーラー(ごめん。一乗院です。一乗院パーラは、昔近鉄奈良駅前にあったんですけど、今はない)にいた弟の義昭を保護しているのも、足利将軍家が必要だと思っていたからでしょう。 将軍殺しをしてしまった三好義継に対しても「はやまりましたな・・」とか言ったかもしれないけど、あくまで忠実だったように思う。なにしろ、主君長慶が、自分のたった一人生き残った実の弟を殺してまで守りたかった後継者ですから。年齢差は40歳くらいあるんですから、孫みたい主君です。 久秀は、裏切者だとか、策略で三好家を翻弄したとか伝説に彩られていますが、なんだか、自分を見出してくれ、頼ってくれた最初の主君、三好長慶にのみ忠実な人物で、そのために一生を送った、けなげなじいちゃんなのだ・・・・という気がしてきた。 歴史秘話ヒストリア 松永久秀と下剋上 室町の身分秩序を覆す (中世から近世へ) [ 天野 忠幸 ] こちらもよろしく 座乱読後乱駄夢人名事典 絵置き場 座乱読ー別荘ー マンガ置き場。 現在「足利家の執事」連載中 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021.03.23 11:17:03
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