バレンタイン・デー&ホワイト・デー
正直を言って・・・私は、日本の「バレンタイン・デー」が好きではなかった。何が好きじゃなかったって、もともとは羞恥心なのだと思う。でも、それが薄れた後には、やっぱり「義理」の贈り物に馴染めなかったように思うのだ。学生時代、周りの友達が、「私は●●サンが好き!」とか「▲▲さん、カッコ良い~~♪」とか、臆面も無く口にするのは、ある意味、スゴイことだと思っていた。思えば友人達の言動は、少女ならではの凄く素直な感情表現で、実に若い女の子らしくて好ましいと思う。でも、私自身に当て嵌めて考えてしまうと、それは「トンデモナイ」領域に属する言動だった。ましてや、世間が「オンナノコがオトコノコに告白する日」と定めた日に、将にその行動を起こすことなど、私の意識の中では言語道断だった。当時の私ときたら、本当に可愛げも何も無い。何でこんな考え方(及び、性格)なのか分からないが、「私なんかがそんなこと口にして、相手に迷惑に思われるのなんて、絶対イヤ!!」な~んて思考に及んでいたのである。(今となっては、 )一見、自分に自信が無いが故の謙虚な思考ともとれるが、実はかなり尊大。思うに私は、もともと自尊心が異常に強いのかもしれない。要は、自分の思いが相手に受け入れられず、拒否されて自尊心を傷つけられる形になるのが極端に怖いのだ。・・・別に、他の友達がどう行動しようが、それは人のことなので何とも思わないんだけど…。中学時代など、「ねぇ、お願いだから付いてきて。」なんて言われ、友人が好きな男の子にチョコレートを私に行く時の「護衛」(笑)を務めたことも何度かあったっけ。そして、実はそれが自分自身も気になってる相手だったり・・・(こんなこと言えるようなったのも年の功かな~ハハッ(´∀`;)。)でも、お付の女官wwを務めて更に思い知ったのだが、男の子達も、自分が気にしていた女の子からの贈り物じゃないと、その反応たるや、スゴク冷たいのだ。・・・きっと、思い当たる節のある「旧・オトコノコ」及び、「現役・オトコノコ」は結構いる筈( ´∀`)クスッ。「あ、そう。どうもアリガト。」と言って受け取って貰えるなら良い方。下手すりゃ、「いいから、持って帰って。」なんて冷たい暴言を憮然と吐くダンシも・・・。教室に帰って来てさめざめと泣く友達を見て、私自身がその男の子に興味を持っていたこと自体が腹立たしく思えたこともあった。彼女の立場が自分だったら??なんて思うと、更にやり切れなくなってしまう。そもそもの考え方がガチガチの自己防衛的なのに加えて、そんな場面を見てくると、徐々に更に臆病になってしまった。「義理チョコ」であろうが何であろうが、それに抵抗がなくなったのは社会人になってからだ。「義理」であるという前提では、そこには特別な感情は無い。単に、「普段、お世話になっています。」という感謝の意味を込めて送る前提ということになれば、当然、全く抵抗は感じない。でも、屁理屈こきの私は、この「義理チョコ」にも、抵抗ならずとも、結構疑問を感じたものだった。OLやっていれば、当然、職場で仕事で関係のある男性にそれを贈るのが慣わしみたいになっているが・・・。「お世話になっている」という実感が無い人にも、お世話になっている人と一律に贈り物を贈るのが釈然としなかった。アメリカに渡って初めて知ったのは、そこで見た「バレンタイン・デー」の定義は、「女の子からの告白の日」ではなかったことだ。子供であれ、大人であれ、特別な恋愛感情を相手に伝えるというよりは、普段付き合いのある人々に感謝と敬愛の気持ちを込めて、カードや小さなプレゼントを贈る、「愛の日」なのだ。もしかしたらそれは、ある意味、日本のそれよりも「義理」色が強いのかもしれない。でも、私はその時初めて、「バレンタイン・デー」が素直に受け入れられた。その頃私は、日本語教師アシスタントとして校区内の小中学校を回り、日本語を教えていた時だったのだが、クラスを回る度に、子供達からメッセージカードやプレゼントを貰った。そもそも小学校を回っていると、「これ、プレゼント!!」と言って、自分の描いた絵やら、自分で折った折り紙作品やら、気に入って集めたおもちゃとか小石とか、可愛い贈り物を沢山貰うのだけれど、バレンタイン・デーに関しては、普段の比ではない。クラス全体からの寄せ書きや"We love you!!""We want you to come to our class next year, too!!"など、たどたどしくも可愛らしい小さなメッセージカードの数々を贈られて、とても嬉しくなった。思わぬプレゼントに担任の先生達にもお礼を言いつつ、「日本のバレンタインはすっかり意味合いが違っていて、女の子が好きな男の子にチョコを贈る日。まさか、こんな可愛い贈り物を貰えるなんて思わなかった!」と言うと、逆に驚かれた。更に、"White Day"の話をすると、一様に「何?それ。」と言われる。その時初めて、White Dayは日本特有のものであることを知った。もうかれこれ、10年近く前のことになるけれど…。・・・でも、そうして、改めて「バレンタイン・デー」の真の意味への心象を良くしたにも拘わらず、こうやって日本にいると、まんまと商戦に乗せられてしまう。「ホワイト・デー」に関してもそうだ。まぁ、それはそれで良いといえば良いのだが・・・(弱気)でも、バレンタイン・デーにこんなにあげたから、ホワイト・デーには期待!・・・みたいな記事を見たりすると、やっぱり何だか違和感を感じてしまう私…これってやっぱり、バァさん根性なのかな。。。