■源義経黄金伝説■2009-第22回
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
山田企画事務所
ナレッジサーブ「マンガ家になる塾」
■■11
1186年(文治2年)10月 鎌倉文覚屋敷。
「くそ、いらぬじゃまが、はいりおったわ。のう夢見よ」
文覚である。
夢見、後の明恵(みようえ)は答えた。
「西行様の背後にはあるやんごとなき想いが見えます」
「和歌(しきしまみち)に対する想いか」
「いえ、そうではございません。人で御座います」。
「女か」
「いえ、ある男の方への想いで御座います」
「では、まさか、あ、おの方へか、」
文覚は、西行の想いが、待賢門院(たいけんもんいん)へかと思った。
が,夢見ー明恵は違うという。
待賢門院の兄は徳大寺実能、西行は藤原家徳大寺実能の家人
であった。待賢門院は崇徳上皇の母である。
夢見は感受性が強い、その人間の過去もうっすらと読み取る事ができる。
夢見のよく見る夢は恐ろしい。きり刻まれた体の夢だ。
夢見の父は,頼朝決起の戦いでなくなっている。
母は紀州豪族湯浅氏の出身である。
この時期の紀州は、熊野詣で大繁盛している。
紀州熊野は仏教に在来の民間密教が結びつき、一大新興宗教センターとして
機能している。密教秘儀を身につけて貴族の保護をうけるモノが、京都の政治
を左右できる。桓武帝以降、宗教各派は、政治闘争を繰り返している。
摂関政治に関与できた宗派が権威を持ち荘園を所有できる。
仏教各教団は、経済組織集団でもあり、一般民衆もその権威に頼ろうとした。
その夢見の夢想の中に西行が現れていた。
続く090901改訂
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