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2024年02月04日
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カテゴリ:音楽
今年はガブリエル・フォーレ(1845-1924)の没後100年という記念の年だそうで、先月の某クラシック番組でも「癒しのフレンチ・ミュージック」と題して取り上げられていました。

そこで取り上げられたお題の一つがリディア旋法。いわゆる教会旋法の一つで、「ファの旋法」とも呼ばれます。

復習のために、鍵盤楽器を使って教会旋法をざっくり説明すれば、鍵盤上でどれか1つの白鍵を主音として、「白鍵だけからなる(黒鍵を使わない)」音階を使う音楽を「〇〇旋法で創られた音楽」と呼びます。リディア旋法では、ファを主音として得られる音階を指します。では、これと我々が普段耳にする「調性音楽」と何が違うか?

まず鍵盤上の白鍵と黒鍵の並び方を見ると、ミとファの間、およびシとドの間には黒鍵がありません。つまりこの2つの部分でだけ音の間隔が半音になっています。したがって、音階の主音をどの音にするかで、白鍵だけからなる音階の中の半音の位置が異なる、つまり音列が異なる音階ができるわけで、教会旋法ではこれらを主音の音で区別して使う、というわけす。

一方、よく知られているように、バロック音楽以降に確立された調性音楽では、教会旋法の中の「ドの旋法」と「ラの旋法」の2つだけを使います。この2つの旋法は、主音と3つ上の音の間隔が異なり(長3度と短3度)、その響きが人に与える印象から、前者は「長調(major)」、後者は「単調(minor)」と呼ばれます。

つまり、調性音楽とは、それ以前には多様だった音階を2つだけに絞り、音楽の世界を長・短2つの二項対立の世界に還元してしまった、とも言えます。

さて、調性音楽でファから始まる長調はヘ長調で、シの音にフラット(♭)が付きます。このフラットは、ファから始まる音階を「ドの旋法」と同じにするためのもの。「ドの旋法」はハ長調と同じなので、シにフラットをつけることで、ハ長調の曲の音をすべて4度上げればへ長調で演奏できるようになります。これを「移調」と言います。さらに、これが曲の途中で起きることが「転調」に対応します。

そして、この「転調の自由度」こそは、調性音楽が持つ最大の魅力の源泉と言ってよく、転調による展開のない調性音楽は気の抜けた炭酸水のように味気なく退屈なものです。

こうしてみると、調性音楽が持つ転調の自由度と、教会旋法が持つ旋法の自由度との間にはトレードオフの関係があるとも言えます。

ところで話を元に戻すと、「ファの旋法」で作られた音楽は、たった一音フラットを取っただけなのに、ヘ長調とはまるで違った響きになり、パーっと青空が開けるような開放感で満たされます。これが調性音楽に退屈した聴衆に大いにウケたであろうことは容易に想像できます。

フォーレの教会旋法は、彼が(真面目なクリスチャンではなかったものの)教会の雰囲気を好み、オルガニストも務めていたことから来ているようですが、後知恵で考えると、19世紀末の西洋(特にドイツの)クラシック音楽が調性音楽の極限(ありとあらゆる和声進行や転調を極めた)に達し、さてこれからどう新たな展開を考えるか、というタイミングで出てきたことが功奏したとも言えそうです。(ナショナリズムの台頭による「フランス国民音楽」への欲求という時代背景も後押ししたことでしょう)。

実際、リディア旋法による音楽の味付けは、ドビュッシーなどにも見られます。例えば、亭主が大好きな彼の歌曲集の中からすぐに思い浮かぶ曲が「La Belle au Bois dormant(眠れる森の美女)」(下記リンク)。


このような音楽は、旋法をうまく取り入れながらも調性音楽であることを保っているようにも聞こえます。つまり、両者は必ずしも二項対立という関係にならないわけで、現代音楽に旋法を取り入れる可能性は(モードジャズといった限られたジャンルに留まらず)もっと広がっているのではないかと妄想する亭主でした。








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最終更新日  2024年02月04日 22時19分01秒
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