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2011年01月15日
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カテゴリ:旅日記
ピオ・クレメンティーノ美術館の古代彫刻コレクションは
世界でも屈指の質の高さを誇るが中でも見事と私が思うのは次の2点。

DSCF6086.JPG ベルヴェデーレのアポロ。

これほど均整の取れた美しい男の像を他に知らない。
アテネのアゴラ(広場)にあった像の模刻というのだから驚く。
2000年前のローマは複製品を作る職人の腕も超一級だったのかと。

もう一点は私が小学生の頃好きで読んでいた星座図鑑の神話の参考図版として
小さな写真で載っていただけなのに魂奪われてしまった「ラオコーン」。

DSCF6626.JPG

「トロイの木馬」と言えば今やすっかりコンピュータウィルスのイメージが強くなってしまったが
これはもちろん元祖トロイの木馬、ギリシャの奸計を見抜いたがために
神の怒りに触れ二人の息子ともども蛇に絞め殺されてしまったトロイの神官の像。
トロイ戦争の時は神々もギリシャ側とトロイ側に分かれて争ったが
「この木馬はギリシャの罠だ」と叫ぶラオコーンを
自分が味方していたギリシャの勝利の邪魔になると考えた女神アテナが
大蛇を放って殺してしまったというお話。
アテナは知恵と正義の戦いの女神だが戦いに正義もへったくれもないと
よくわからせてくれるエピソードである。
あまり言葉を並べ立てると陳腐になるのでやめておくが
この像を初めてわが目で見た時は「もう思い残すことはない」と思いましたね。
ミケランジェロが影響を受けたというのがわかりすぎるほどわかる。
彼の作品の多くに「ラオコーン」のにおいを感じずにはいられないのだから。

ここを出ると大燭台のギャラリー、タペストリーのギャラリー、地図のギャラリーと続く。

DSCF6628.JPG

これは地図のギャラリー。
ずっと眺めていても飽きないのだが時間的制約があるので
歩みは止めずに目だけで古地図を追う。

そしてラファエロのスタンツェ(部屋)へ。
ここは何といっても「アテネの学堂」で有名ですね。

DSCF2524.JPG

描かれているのは古代ギリシャの学者たち。
ラファエロは同時代の偉大な先輩や同僚、貴族たちをモデルにこの絵を描いたとされている。
有名なところでは中央で天を指差し赤いトーガをまとっている白髭の老人がプラトン、
モデルはレオナルド・ダ・ヴィンチ。
手前で机に頬杖をついて考え込んでいるのがヘラクレイトス、モデルはミケランジェロ。
この二人は大変に仲が悪かったとされているがラファエロは両者を非常に尊敬していたし
偉大なる先輩たちもまたこの素直な後輩をかわいがった。
ラファエロの作品を観ていると「これはレオナルドの影響を受けてるな」
「あ、こっちはミケランジェロだ」とわかることが多くて愉しい。

この後ボルジアのアッパルタメントを経ていよいよシスティーナ礼拝堂に入る。

撮影は禁止なので律儀で知られる日本人としてその掟は守った。
「なんだ、写真はないのか」と思われるだろうがご容赦いただきたい。
ここに描かれた巨匠ミケランジェロの「天地創造」を始めとする天井画、
壁面の「最後の審判」についてはもはや言及は不要であろう。
ただ己の目で見て、感じてくださいと言う他ない。
ちなみに前者は30代の野心作、後者は60代の円熟期の作品ということを頭に入れておくと
より興味深く鑑賞できるかもしれない。

博物館の中は全体的に混んでいるがここの混み具合はやはり別格であった。
立錐の余地も無いとはこのことかと思い知らされる。
いくら「撮影禁止、静粛に」のアナウンスが流れても
見物客はフラッシュを焚いての撮影も絶え間ないおしゃべりも止めようとしない。
これでは壁画が傷むのも無理はない。
せめてフラッシュを焚かずに1枚だけとか遠慮する気持ちがあればいいのだが
これを見るためだけに来た人々の中には何十枚も撮影する人も少なくない。
非公開にするわけにはいかないだろうが作品保護の観点から
せめてレオナルドの「最後の晩餐」のように入場制限をもうけることはできないものかと
私ですら思った。
ここにあるのはミケランジェロだけでなく
ペルジーノ、ギルランダイオ、ボッティチェッリなどなど・・・という
錚々たるルネサンスの大家たちの作品なのだから。

このシスティーナ礼拝堂を見るともう出口に向かう観光客も少なくないのだが、
そしてそれも無理からぬほどの質と量の展示がここまでで十分あったのだが
ヴァティカン博物館は好事者をまだ解放してくれない。
図書館、さらには絵画館と私のような者にはたまらない「天国」が続くのである。

絵画館はそれだけで10ユーロ取ってもおかしくないほど充実しているが
一作品だけに絞るとなるとやはりこれでしょう。

DSCF2548.JPG ラファエロ作 「キリストの変容」。

キリストが天の声を聞いて自らが神の子であることを示す新約聖書の劇的な場面。
わずか37歳で死んだラファエロの絶筆がこの作品。
最後にキリストの顔を描いた後画家は息を引きとったと言われている。
もはや何か言うのは野暮というものですね。

博物館である以上ヴァティカンも定期的に展示換えをしていると思われるが
その関係か今回初めて見て「面白い」と思ったもので内部の話を締めくくろう。

DSCF6093.JPG これ、何だと思います?

正解は中世のロシア正教の「イコン」。まるで曼荼羅みたいだと思いませんか?
私はこれを観て東寺の「胎蔵界曼荼羅」を思い出した。
少しでも東の方に行くと信仰を表す宗教画の類も少しだけ我々に近づくのかと
最後の最後に「やられた!」と思いましたね。
ヴァティカン博物館、とんでもない実力です。
これで15ユーロ(1650円)はお得すぎて「本当にいいの?」と思ってしまう。

一応「午後6時まで開館」ということになっているのだが
「午後6時までには何が何でも客を追い出して閉館」というのが正しい解釈であるらしい。
5時過ぎには「この展示室はもう入れません」と職員が客の追い出しにかかる。
おかげで乗り物好きの主人が見ようとした馬車博物館は見られなかった。

午後6時前、もう外は真っ暗。ライトアップされた大聖堂が美しい。

DSCF6633.JPG

サンピエトロ広場のクリスマスツリー。

DSCF6634.JPG

「えっ、クリスマスって12月25日だからもう終わってるんじゃ」と思われるでしょう?
実はイタリアやスペインでは12月25日が「クリスマス期間の始まり」なんです。
1月6日の公現節(キリストの誕生を祝いに東方から三賢人がやって来た日)まで
クリスマス期間が続き子供たちへのプレゼントは6日の夜というのがイタリアの伝統。
だからクリスマスツリーがあるのは当然で
隣には「プレゼピオ」と呼ばれるキリストの降誕と三賢人の礼拝を表す飾りもある。
そんなわけでイタリアで新年を迎えるのはにぎやかで新鮮でとてもお勧めなのだ。

ここまで長文をお読みいただいた方、ありがとうございました。
こんな固い口調で物語るのはやはり疲れるのでこれ以降の旅日記は
ショッピングやグルメを取り混ぜつつもっと軽いものにしようと思います。
ヴァティカンだけはどうしてもこの文体にしたかったので敢えて疲れる方法を選びました。





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Last updated  2011年01月16日 00時38分00秒
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