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カテゴリ:債務整理
(前回の続き)
「債務者が、消滅時効完成後に債権者に対して債務の承認をした場合、債務者が時効完成の事実を知らなかったときでも、信義則に照らし、その後その時効を援用することは許されない。」とした昭和41年の最高裁判決は、債務者が商人であった事件で、債務者のほうがワルでした。 つまり、時効完成後に債務の消滅時効を援用することが信義則に反するような特段の事情があったのです。そのときの債務の承認の仕方が特別に時効の援用を許さないものだった。 その後、時が流れ、消費者契約法10条などが昨今登場するようになりました。 「消費者に一方的に不利益な契約を業者が締結した場合、その契約は無効」とするものです。 消費者金融の場合、債務者は、低所得者層の個人か零細な事業者が圧倒的多数です。 それに引換え、債権者は消費者金融会社(商人)で、上記債務者に対して圧倒的な私人間における権力を有しております。 したがいまして、この場合には、「時効完成後に債務の承認をしたからといって、信義則上、時効援用権を剥奪すべき特段の事情」といったものは、全くないわけです。過去の最高裁の判例だからといってなんでもかんでも適用されるわけではないことをご理解いただけたでしょうか。 それどころか、昨今の個人債務者による時効完成後の債務の承認(一部弁済や支払の猶予の申し出)は、債権者である消費者金融等の「欺瞞的方法や威圧的態度」によって、作り出されていると言っても過言ではありません。私が前回の日記で紹介したA子さんがまさにその例です。 結論:債権者の欺瞞的方法や威圧的態度に起因して、時効完成後に債務の承認がなされたとしても、債務者の時効援用権は失われない。すなわち、時効を援用して債権を消滅させることは可能ということです。(時効援用権は法律で認められた権利!それまでに何にもしなかった債権者が悪い。) 私は、この業者に対しては、A子さんが病気で働けないことを知っていながら「欺瞞的方法や威圧的態度によって債務の承認を迫った」ことに対して、病気を悪化させる精神的苦痛を与えたとして不法行為にもとづく損害賠償請求と行政処分の申立もするとして、時効援用通知書を送りつけた。 A子さんは、この1通で生活の平穏を取り戻すことができた。 そして、いまは療養に集中している。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007年04月09日 23時30分58秒
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