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カテゴリ:BOOK REVIEW
血と骨/梁 石日
梁 石日(ヤン・ソギル)はヘンリー・ミラーに影響をうけたらしい。新聞のインタビューで読んだ。ヘンリー・ミラーといえば激しい性描写で問題になったとか、ホキ徳田と結婚してたってことしか知らない。で、ホキ徳田とロミ山田を間違えてるかもしれない私は197?年生まれです。 この本はすごい。半世紀にわたる激動の戦前・戦後史大パノラマ。舞台は家の近所。「えっ、そこやん!」って地名のオンパレード。男たちが利用する遊郭は、大体あの辺かぁと検討がつく。普段行き来するあの道路が、空襲で地獄絵と化してたとか・・となりの駅がヤミ市やったとか・・。今はその面影すらない。 映画よりエグいと聞いたけど、確かに(映画見てへんけど)。凶暴な金俊平の行くところ流血事件が絶えない。蒲鉾工場での作業や豚を解体するシーンでしたたる血も鮮明。タイトルになってる血と骨の所以は、前半ぐらいで登場する。「なるほど」と納得するも話が進むにつれそれが皮肉に思える。金俊平のモデルはヤン・ソギルの父親らしいから、血はつながりというよりもむしろ呪縛やったんかなぁ。 暴力親父金俊平の暴れっぷりはすさまじい。でも何故か嫌悪感はない。作者の父親やからかもしれない。蒲鉾職人やから料理が上手やったとか、ゲテモノ料理で健康維持してたというエピソードもなんだか憎めず、真の悪人なんておらんのかなぁ、とも思う。 タイトルは血と骨ですがお肉も忘れずに。肉=肉欲。激しい性描写では思わず里芋のにっころがしを焦がしてしまいました(ギリギリ食べれたけど)。妻/女郎/妾。女性の選択肢も限られてた時代、彼女たちの生き様もすごい。金俊平の妻で作者の母親の英姫はたくましい。夫から逃れ、子連れで乞食同然に放浪したり、飲み屋で生計を立てたり。英姫が作るどぶろくや豚の腸詰(スエやっけ?)が登場するとよだれ~・・って豚って肉でした。 うちの親父も暴力親父やった。小金俊平ぐらい?本を読みながら子供の頃の思い出がクロスオーバーして、自分のルーツを再確認。もっとハングリーに、もっと頑張らねば、って思った(何を?)。だって、私にはその価値があるから。(何故かロレアル) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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