恥ずかしい話ですがタバコの害について2年くらい前まで全然気付いてませんでした。（アホウであります）
学校でも習ったし、世間一般にも言われているし当たり前の事なんですが同じ人で吸っている状態と吸わない状態を比較する事が出来ない為実感として掴みにくい所がありました。
以前から患者さんの中に「うわ～、こりゃあなにやってもダメじゃな～」て感じの人がたまにいました。
口全体にベタ～っと歯垢がついていたり、歯茎が何となく発赤していて生気がない感じがあります。
直しても直してもその縁から虫歯になったり、次から次へと歯が抜けていきます。
「こりゃあ、この人の持っとる体質なんかの？」と単純に思ってました。
僕の親戚のおじさんもその一人でした。
「こりゃあその内総入れ歯になるのう」と考えてましたが、そのおじさんが胃癌にかかりました。
それまで物凄いヘビースモーカーでしたが、人は死ぬと言われるとタバコも止められます。
すっかり胃癌も治ってタバコを止めたおじさんが久しぶりにうちの医院に来た時、目から鱗どころか尾びれ背びれまで吹っ飛んでいきました。
口の中の状況が物凄く健康的な感じに激変していたのです。
あの「何ともやれん」状態はタバコによって引き起こされていたものだったとは。
そう言えば思い当たる節がいくつかありました。
歯周病は全体で進んでいくので1本ダメになるとまた隣の歯も近いうちにダメになります。
その時点でダメなやつを抜いて治療してもまた半年後には数本ダメになっている。
次から次へと抜いて行き1年のうちに総入れ歯になってしまう人が毎年数人います。
逆にこりゃあまた今年中に入れ歯になるのうと思っていた人が案外長持ちして何年経っても進行しない人もいます。
「人によって体質も違うんじゃろう」と考えてましたが、短い期間でド～っと進む人は必ず物凄いタバコのにおいのする人です。
一人の人をず～っと追跡してタバコを吸っている時代と止めた時を比較するするような事は普通体験できないのでとてもいい勉強になりました。
タバコの作用は簡単に言いますと「毛細血管を収縮させて血の循環を悪くする」事です。
毛細血管を収縮させて体の端の方に栄養が行き渡らず、老廃物を溜め込む事になります。
言ってみれば半ば壊死したような状態にするわけです。
吸っていない間に循環が回復しますが、吸っている時間が長い人は回復しきれていないんでしょうね。
タバコを止めると太ると言いますが、太るのではなく元の健康な状態に戻っているんですね。
タバコを吸っている間痩せているのは病気になって痩せているのと同じ状態かと思います。
タバコは癌の直接の原因ではないと言う研究結果がありますが、確かにそうでしょう。
しかし癌や他の病気になった場合急速に進行させる因子になるはずです。
病気の原因を叩くために必要な血液の循環を悪くしているわけですから。
口の中で起こっているあの「嫌～な感じ」が体の中全体で起こっていると思うとゾッとします。
医者や歯医者でもタバコを吸う人が結構いるのはその人たちもまだその事に気付いていないんでしょうね。
