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☆12月21日(ブルームバーグ):国内外運用会社、証券会社のファンドマネジャー、ストラテジストらは2013年の日本株相場を次のように予想している。 各氏のTOPIX や日経平均株価 の高値、安値水準、値動きのイメージに続き、見解の詳細を記した。 ●プルデンシャル・インベストメント・マネジメント・ジャパンの篠原慎太郎株式運用部長【TOPIXの予測値】高値900、安値725、年末875【日経平均の予測値】高値1万1000円、年末1万500円 基本的にレンジ相場だが、レンジの水準を年末にかけて徐々に切り上げる展開を想定。 ことし1月が鉱工業生産 のピークで落ち込みが続いてきたが、ようやく生産の調整が終了し来年は上向いてくる。 景気回復の芽が出てきているのとほぼ同時に起こった為替の円安反転も大きい。 中国も景気モメンタムの底打ち兆候が出てきており、ファンダメンタルズ面で変節点にきているというのがベースの認識だ。 国内政治は、限られたパイをどう配分するかに終始した民主党に比べ自民党はグロース志向で、税率引き下げの示唆に見られるように企業寄り。 政策面でも変化が期待できる。一方、欧州は最悪期を脱したとしても、経済を引っ張る明確なドライバーがない。 米国、中国も力強さを欠き、世界経済の回復モメンタムが強まることはない。 低成長の下、過大な企業の利益成長は期待できない状況で、相場の上値は限定される。 ●みずほ投信投資顧問の柏原延行執行役員【日経平均の予測値】高値1万1500円、安値9000円 高値月10-12月、安値月1-3月 日本の企業業績 はことし下振れしていたが、ハイテクを中心とした生産の落ち込みは10-12月に底打ちしたとみる。 それが明らかになる来年1-3月以降は徐々に不安感が解消していこう。 国民の支持を受けた政治のリーダーシップに対する期待が海外投資家に強い。 米国景気も1-3月を底に回復に向かう。 米企業はキャッシュフロー の範囲で投資を抑制しているが、「財政の崖」による先が見えない不安感が徐々に和らぐとともに、設備投資や雇用に対し積極的なスタンスに出てこよう。 米景気戻りの恩恵を受ける業種に注目。 リスク要因は中国との外交関係、繰り返される欧州債務問題による景気下押し圧力。 ●東京海上アセットマネジメント投信の久保健一シニアストラテジスト【TOPIXの予測値】高値960、安値750、年末950【日経平均の予測値】高値1万1500円、安値9000円、年末1万1400円※両指数とも高値月12月、安値月7月 前半は新政権の大胆な金融緩和や財政出動に加え、景気循環面もことし7-9月のマイナス成長 から回復する時期に当たり、相場は堅調に推移する。 ただ、夏にいったん調整、いわゆる夏枯れになる。 中国経済が4-6月期まで持ち直した後、お辞儀するほか、米国も個人消費に陰りが見える時期に当たるからだ。 過去のサイクルを見ると年末高になる可能性は高い。 ただ、消費増税の是非が秋に確定するため、増税後を見にいく株価の上値が重くなるリスクもある。 それがなければ、年末はグローバル経済の循環的な回復、金融緩和の実行力を受けた政府への信認の高まり、円安・ドル高が定着するとの安心感などを受け年末高になろう。 ●三菱UFJ投信の宮崎高志戦略運用部長【TOPIXの予測値】高値950、安値750、年末900【日経平均の予測値】高値1万1000円、安値9000円、年末1万1000円※両指数とも高値月10月、安値月1-2月 欧州金融問題、中国経済の失速懸念、米「財政の崖」という3つの不透明要因が払しょくされることでグローバル景気が回復し、債券市場に滞留している大量のマネーがリスク資産に向かう可能性がある。 通常の回復軌道に入った米景気は、2.5-3%近い成長が予想される。 米景気回復で1ドル=90円の声が出てくれば、外需関連の業績増額要因になり、景気対策や消費増税前の駆け込み需要で内需も悪くないだろう。 リスク要因は年後半のインフレで、早い段階で懸念が高まるようなら景気回復が短命に終わる懸念もある。 ●BNPパリバ・インベストメント・パートナーズの清川鉉徳運用本部長【TOPIXの予測値】高値960、安値830 高値は年前半、安値1月 新政権によるデフレ脱却策や日本銀行のさらなる金融緩和期待が年前半は持続しそう。 為替の円安バイアスがかかりやすく、自動車 など輸出関連株を中心とした買いが相場を押し上げると予想。 欧州債務問題は時間をかけて解決に向かい、ユーロ崩壊はあり得ない。 米国の「財政の崖」は緩やかなスロープにとどまり、米経済は雇用を中心に徐々に回復、企業の投資も再開していこう。 中国は春先に実施される全国人民代表大会(全人代)を受け、習近平新体制が本格的に稼働し始めれば、財政・金融政策を打ち出しやすくなる。中国のハードランディングはないとみる。 ●ベイビュー・アセット・マネジメントの高松一郎運用第2部長【TOPIXの予測値】高値1000、安値750、年末1000【日経平均の予測値】高値1万2000円、安値9000円、年末1万2000円※両指数とも高値月7月、安値月5月 久しぶりに株でもうかる年になる。これまで、リーマン・ショックや欧州債務危機などろくでもない年が続いてきた。 まず、徐々に米国景気が良くなっており、「財政の崖」を無事に通過した後は、米金利が上昇に転じ始める。春ごろにはそうなろう。 経常収支が赤字になるなど、構造的にも円安圧力は強まっており、来年は円安・ドル高基調が継続、ドル・円で90円をイメージしている。 中国もことしボトムアウトし、来年は成長率8%を回復する。 米中が良ければ、輸出関連株は上がる。 国内では、大胆な金融追加緩和を実施、財政も来年すぐにも15兆円規模の補正予算が組まれる。 消費税率引き上げのためにもカンフル剤で景気を引き上げなければならず、財務省とも利害が一致する。 財政と金融が景気刺激で足並みそろえ、日本株は内需、外需ともにしっかりとした展開が見込まれる。 ●ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役【日経平均の予測値】高値1万800円(7月)、安値8700円(2月)、年末9500円 大胆な金融緩和期待を背景とした円安・株高は選挙を境に終わる。 12年10-12月の企業業績は厳しい、米国の財政の崖の問題もおそらく先延ばし。 1-2月は調整局面になろう。 3月から次の日銀総裁人事に市場の関心は集まる。安倍新首相は、総裁交代後に何かやるだろう。 そこから本当の金融緩和を受けた円安・日本株買いが始まる。 また、4-6月期決算で発表される企業の年間計画では、円安と海外景気回復を織り込み、良好な見通しとなる可能性が高い。 セクターでは、円安メリットを受ける優良輸出関連、不動産や財政出動の恩恵を受ける建設などが相場をけん引する。 年後半は上げ足が止まるとみる。 中間決算辺りで企業業績に対する失望感が広がる可能性が高い。 中国は回復基調に入るが、成長スピードは鈍化する。 インフラ投資はすでに相当やっており、中小企業に対する融資による投資誘発も、不良債権になるリスクが大きい。 米国経済は相対的に最も良好。 ●野村証券の田村浩道チーフストラテジスト【TOPIXの予測値】3月末875、6月末850、9月末925、12月末1000【日経平均の予測値】3月末1万500円、6月末1万250円、9月末1万1000円、12月末1万2000円 日本株が長期停滞局面から脱却に向かうきっかけが見えてきた。 従来以上の金融緩和、円安トレンド、補正予算などによる景気刺激策への期待が生じ、日本株上昇のけん引役となっていくだろう。 さらに、来夏実施の参院選で「ねじれ国会」が解消に向かえば、政策実行のスピード感も増し、その先にさらなる上昇相場を展望できよう。 外国人投資家 は日本株の「持たざるリスク」を認識し始めており、今後の買い余力は大きい。 一連の政治、政策イベントを考えれば、円安、株高、金融緩和で恩恵を受ける銘柄を中心に保有すべきであり、「外需・高ベータ+不動産 、建設 、金融」が中心戦略となろう。 ●メリルリンチ日本証券の神山直樹株式ストラテジスト【TOPIXの予測値】5月末810、8月末840、12月末880【日経平均の予測値】5月末9800円、8月末1万200円、12月末1万700円 メイン・シナリオは、日銀の総裁・副総裁人事が追加的な金融緩和策につながり、米国の回復感が強まることからドル・円が13年末に85円程度になることを想定。 また、日本の財政政策は消費税率引き上げを前に多少増加すると予想する。 13年の米国長期金利は緩やかに2.0%に上昇すると期待、日本からの輸出は回復に向かうだろう。 ただし、センチメントが大幅に回復すると考えず、PERは12倍程度を維持しよう。 メイン・シナリオに沿った円安で恩恵を受ける銘柄として、日本電産 、ホンダ、日産自動車を挙げる。 輸出関連の中でも、ファンダメンタルな強さや相対的なマージンの高さを維持すると期待できる。 このほか重工、製鉄 、精密 業界など多くの日本企業が円安の恩恵を受ける。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 29, 2012 05:57:53 PM
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