|
テーマ:プロ野球全般。(13401)
カテゴリ:カテゴリ未分類
☆熱戦が続き、大きな盛り上がりを見せる2013年日本シリーズ。 なかでも10月31日に行なわれた試合は、このシリーズ初の延長戦となる大激戦となった。 この試合の主役は、6回からマウンドに上がり5イニングを投げ抜いた則本昴大(楽天)であることに異論はない。 だが、その則本から本塁打とタイムリーで執念の同点劇を演出した村田修一(巨人)や、再三の好守でチームのピンチを救った藤田一也(楽天)の活躍も光った。 そして彼らの活躍を見るたび、ベイスターズファンは何とも複雑な心境になるのだった。 村田も藤田もかつてはベイスターズの選手だった。 本塁打王を2度獲得するなどチームの顔だった村田は、2012年オフに「強いチームはいいなと思った。このままズルズルと野球人生を終わらせたくない」とFA宣言し巨人に入団。 その言葉通り、巨人移籍1年目の昨年、自身初のリーグ優勝、日本一を味わった。 一方の藤田は2012年シーズン途中に内村賢介とのトレードで楽天に移籍。 ベイスターズ時代の藤田は、かつての同僚である仁志敏久に「今、プロ野球でいちばん守備がうまいのは藤田」と言われるほど守備で高い評価を受けていたが、打撃面での非力さが首脳陣の信頼を得られず、一軍と二軍を行き来していた。 その藤田の守備力に目をつけたのが、投手を中心とした守りの野球を標榜する楽天・星野仙一監督だった。 「アイツ(藤田)がチーム入り、オレの理想とする野球ができるようになった」と語るように、星野監督は藤田を積極的に起用し、藤田もまたその期待に応えた。 プロ9年目の今季、主に「2番・セカンド」として自己最多の128試合に出場し攻守で活躍。楽天のチーム創設初のリーグ優勝に大きく貢献した。藤田は言う。 「まさか優勝を味わえるなんて思っていなかった。本当に楽天に来てよかった」 実は、村田や藤田だけでなく、ベイスターズを出た選手が移籍先でチームに貢献し日本一やリーグ優勝を経験するというケースは多い。 その筆頭が、来季の中日の監督に就任した谷繁元信だろう。 谷繁はベイスターズ時代の1998年に正捕手として日本一を経験しているが、2002年にFAで中日へ移籍すると、リーグ優勝4回、日本一1回に貢献し、名実ともに日本球界ナンバーワン捕手となった。 中日とベイスターズには不思議な縁があり、多くの選手がベイスターズから中日に移籍し、勝利の美酒を味わっている。 例えば、谷繁とともに98年の日本一メンバーだった佐伯貴弘は、2010年オフに戦力外通告を受けたが、拾われる形で中日に移籍。 13年ぶりにリーグ優勝を経験した。 結局、1年で退団となったが、来季の中日二軍監督に就任した。 また、今シーズン限りでユニフォームを脱いだ小池正晃は、2008年のシーズン途中にトレードで中日に移籍すると、2012年に横浜に復帰するまで2度、日本シリーズを経験した。2011年のソフトバンクとの日本シリーズでは、第1戦に馬原孝浩(現オリックス)から決勝本塁打を放つなど活躍した。 さらに、横浜で2年連続本塁打王になったタイロン・ウッズも2005年に中日に移籍し、2006年には本塁打王を獲得。 2007年にも35本塁打を放つなど、チームの53年ぶりの日本一に貢献した。 1998年の日本一以来、低迷にあえぐベイスターズにあって、「チャンスがあれば勝てるチームに行きたい」と思うのは、当然の心理だろう。2010年オフにFAでソフトバンクに移籍した内川聖一もそのひとりだ。 ソフトバンク移籍1年目の2011年、内川は史上2人目となる両リーグでの首位打者に輝くなど獅子奮迅の活躍で交流戦優勝と日本一に貢献。 パ・リーグの最優秀選手にも選ばれた。当時、内川はこのように語っていた。 「横浜ではずっと最下位だった。勝っても負けても状況が変わらないという中で、毎日の刺激というものは残念ながら得られなかった。でも、今は自分のワンプレイが勝敗に直結することがある。3時間の試合が以前よりかなり短く感じるので、集中できているんだと思います」 また、多村仁志も2007年にトレードで横浜からソフトバンクに移籍した。 2010年には打率.324、27本塁打、89打点でチーム三冠王になり、リーグ優勝の立役者となった。 ベイスターズから移籍した選手の中で、2球団にわたって日本一になったのが石井義人だ。 西武では2004年と2008年に、そして2012年に移籍した巨人では代打の切り札として勝負強い打撃を見せ日本一に輝いた。 この他にも、横浜から移籍して活躍した選手は多い。 2009年にFAでヤクルトに移籍した相川亮二は、正捕手としてチームに欠かせない存在となり、クライマックスシリーズに3度出場している。 ベイスターズの生え抜きではないが、寺原隼人(現ソフトバンク)も横浜からオリックスに移籍した2011年に12勝をマークした。 「彼らがいたら、ベイスターズも今よりは……」などという“たら”“れば”が禁物なことは十分承知している。 また、選手たちが新天地で躍動するのも喜ばしいことである。 ただ、ベイスターズファンは複雑な心境かもしれない。日本シリーズ中、藤田はこんなことを言っていた。 「やっぱり選手は試合に出ないと。試合に出る喜びは大きいし、勝つことがこんなに楽しいんだっていうことを知った。ただ、同時に怖さも知った。でも、そうした緊張感がたまらない」 おそらくベイスターズファンは、他球団ではなくベイスターズで、選手が幸せになる日を待ち望んでいる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
November 4, 2013 09:05:06 AM
コメント(0) | コメントを書く |