東博の浮世絵展示室(9/2~)5:喜多川歌麿『仁和嘉』(にわか)の作品
上野の
東京国立博物館の本館2階10室の今回の浮世絵展示(
展示作品リスト)は、9月28日(日)までです。
館の説明によると、「美人画家として知られる喜多川歌麿(1753?~1806)の作品を展示します。歌麿は、版本挿絵など狂歌界と関係ある仕事からはじめ、次第に女性美を追及した独自のスタイルを確立しました。画風形成期とされる天明期(1781~1789)の作品から、絶頂期とされる寛政期(1789~1801)の版画作品を中心に、肉筆画を加えて歌麿の描いた女性美の世界をご覧いただきます。」とあります。
今回の投稿は、展示作品の中から、歌麿が吉原俄を描いた『仁和嘉』(にわか)の2作品をピックアップしました。
■ 喜多川歌麿
浮世絵の黄金時代を築いた貢献者の
喜多川歌麿(1753?~1806)は、雲母摺の導入、美人大首絵など様々な新しい試みから美人画の完成度を高めた。
・歌麿は、版元の
蔦屋重三郎(1750~1797)のもとで、抜群の才を発揮して、美人画を制作した。
■ 青樓仁和嘉女藝者
江戸時代の吉原(青樓)の遊郭では、即興芝居の
吉原俄(にわか)が毎年八月(旧暦)に催されていた。
・吉原の俄は、錦絵(東錦絵)誕生(明和二年)後の明和四年(1767)から、毎年行われた。
なお、歌麿が描いた吉原の俄の作品は、『青樓仁和嘉女藝者部』が先に作られ、『青樓仁和嘉女藝者之部』が後に作画された揃物作品である。
【参考:「
2012年7月24日 投稿」:『歌麿の吉原俄『仁和嘉』(にわか)』】
【参考:「
江戸新吉原 連合青年部」:『
吉原の夏の風物詩 よしわら俄』】
◆「喜多川歌麿」:重美『
青樓仁和嘉女藝者部・大万度 荻江 おいよ 竹次』/大判/錦絵/天明3年(1783)
この作品は、二人の芸者(おいよ、竹次)が舞いの準備をしている場面を描く。
・床の上に置いてある細見(印刷物)には、版元の蔦屋の名前が読み取れる。
◆「喜多川歌麿」:『
青樓仁和嘉女藝者之部・淺妻船、扇賣、哥枕』/大判/錦絵/寛政5年(1793)
この『青樓仁和嘉女藝者之部』の作品は、『青樓仁和嘉女藝者部』より後に、作画された揃物作品である。
【参考:「
アートショップ」:喜多川歌麿『
青楼仁和嘉 女芸者之部』】
*「喜多川歌麿」:『青樓仁和嘉女藝者之部・淺妻船、扇賣、哥枕』/(部分)