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2005年12月07日
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東京ビッグサイトで、私は1998年12月、第2回ジャパン・クリエーション(JC)に初めて足を踏み入れた時のことを思い出していた。

その時、場内は異様な高揚感に包まれていた。産地の製造メーカーが、コンバーター(生地問屋)に頼らずとも直接前へ出るーー見知らぬ企業、会う人会う人の話が面白く新鮮で、「日本の繊維産業も、まだまだ捨てたもんじゃない」。将来へのそこはかとない希望を抱くこともできた。

岡山から夜行バスで上京、その日の夜にはまた夜行バスでトンボ帰り、という強行軍だったが、寒空の下、「来て良かった」という感動を噛み締めたのが、つい昨日のことのようである。

あれから7年、今日から3日間の日程で始まった第9回JCに、往時の面影はなかった。出展社数が前年比249社減の402社、小間数も同119小間減の788社。既に第5回目辺りから、新規開拓を終えた産地の有力企業さんがポツポツと出展を取り止め始める兆しがあったが、昨年、そして、JCの改革案が飛び出した今年は、大手素材メーカーや商社の一部、そして、かなりの数の有力なテキスタイルメーカーが姿を消してしまった。

「JCでは商売にならない」ーーそういう冷静で前向きな判断の下での決断ならば、それは結構なことだろう。しかし、それ以上に多くの産地の企業さんが、JC開始後約8年間の間に転廃業してしまっていることも忘れてはならない。

繊維の川上分野の報道に関しては定評のある繊維ニュースさんが、JCについて、詳しい解説記事を書きネット上にもアップしておられるので、是非ご高覧願いたい。私も基本的には同紙の論調に賛同であるが、少し自分の意見を補足したい。

まず、大前提として忘れてはならないのは、この8年間の間に衰退したのは、産地の製造メーカーだけではない、ということである。プリントや加工の企画を行い産地の企業間のコーディネートを行ったり、アパレルと製造メーカーの間に入って商売を行っていたテキスタイルコンバーター(問屋)の多くも、それ以前に力を弱めてしまった、ということである。事実、東京のコンバーターの合同展「東京プレテックス」も1999年を最後に休止となっている。

そういう時代背景の下、産地のテキスタイルメーカーがアパレルに対し自社の商品や技術をアピール、場合によっては直接商談を仕掛けていこう、という趣旨で産地の8業種(当時、現在は7業種)の組合の全国組織が、JCを始めたのは、非常に時宜に叶っていたと言えよう。

事実、多くのテキスタイルメーカーが、初めてそのレベルの高さを直接アパレルに知らしめることに成功した。

また、年末の年1回の大規模な展示会は、顔や存在すら知らなかった全国の産地の企業同士が名刺交換し、取り扱い素材の枠を超えて技術交流を図るチャンスとなった。全国のライバルの存在、頑張っている繊維の製造メーカーの存在は、厳しい環境に立ち向かい生き残りたいという意欲を持っている企業にとって大いなる励みとなったのである。

更にもう1点、JCが、日本のテキスタイルを再び世界へ輸出しよう、というアクションのきっかけになったことも間違いない。それ以前から先駆的な企業の取り組みはあったが、政府の援助も取り付け、インターテキスタイル上海へのジャパン・パビリオンの出展を実現、日本繊維輸出機構の結成、そして、有力企業によるプルミエール・ヴィジョンへの出展等も、このJCの場で培われたネットワークが基になっていると見て良いのではないか。

そういう意味では、この約8年のJCの取り組みは、決して無駄ではなかった。むしろ、放っておけば歯止めのない衰退となったかもしれない日本の繊維産業の中に、多少なりとも次世代につながる芽を育成することに成功したのではないかと私は思う。

だが、JCの総合プロデューサーである(有)シナジープランニング代表の坂口昌章氏自身や、その他の業界関係者からも度々指摘され続けてきたJCの問題点がある。それは、次のようなものだ。

1.主催者が(業種別)組合で、補助金が出ているため、やる気のない企業も参加している。
2.年1回開催なので、国際的なファッションサイクルに合わない。
3.トレンド発信力が弱い。
4.海外からの出展者が少ない。

行財政改革のカラミで、今後、これまでのような潤沢な補助金が出ない、という事情から、経済産業省が主導する形で(間違っていたらごめんなさい。ただ、傍から見るとそのように見えてしまう)、今年になって急ピッチで来年以降のJCの方向性についての論議がまとめられた。その結果、来年度から会場をビッグサイトから大田区の東京流通センターに移し、年2回開催とする旨、大まかな方針が決められたようなのである。

ということは、前述の問題点の2は解消された訳である。

ただ、その他の問題をどうするか、これから乗り越えなければならないハードルは高い。特に、1の、主催者の問題は一番重要だろう。会場が狭くなるということは、出展者のスクリーニングの問題が出てくるが、組合関係者の方ではどうしても公平な判断はできないと思うからだ。

あくまでも来場者=アパレルや商社、企画会社、小売業の方などの立場に立って、買いたくなるような商品を提供している企業さんを選ばなければならない。

そして、展示会自体のサービスも向上させる必要がある。

そういうプロの仕事は、片手間では不可能だ。メザゴ・フランクフルトさんとか、日本だとフロンティアやルームスさんのように、展示会の運営そのもので食べていける仕組みづくり、そういうオペレーションが出来るプロに運営を任せていく必要があるのではないか。

この点が解決すれば、3、4にも自ずと答えが出るはず。何故日本から多くの人がプルミエール・ヴィジョンに行くのか?商談目的もあるが、トレンド情報の収集のため、というのも大きい。

また、全世界の優れたテキスタイルメーカーの情報を1箇所で収集できる、1箇所で商談できる、というメリット。

トレンド発信に関していうと、今、日本国内にテキスタイルトレンドの専門家があまりにも少ない、という問題がある。数名のベテランの名前が取り沙汰されるのみだが、次世代の人材の育成が急務である。

情報にお金を出さない企業が多い中、素材メーカーや商社のコンサルティング会社もこの部門を縮小する一方だが、業界全体の発展、という見地に立って、大きな心で人を育てて頂きたいと思う。

最後に、これ、ズバリ書いちゃいますが、業界の中で、「JCなんて行かなくても瀧定大阪と瀧定名古屋とお付き合いしていれば十分」という声があることも事実である。

しかし、一方で、頑張っておられる2社さんには大変申し訳ないのだが、「この2社に寡占化している状況は良くない。企画が同質化してしまうのでは」とか、「もっと違う生地屋さんからも買いたい」という声も、ちょくちょく聞いております。

寡占化がこれだけ進んできたのは、繊維産業が衰退産業である証左で、経済学の法則から言っても避けられないことだったと思うのだが・・・。

現実の経済では、100%モノポリ、というのは、まずありえない、というのも、皆様ご承知の通りである。あまりにも寡占化し、競争が少ない無風状態になった業界には、どこからか新たなコンペチターが思わぬ形で参入してくる、というのが、お決まりのパターンなのだ。

繊維産業の場合は、それは国内の他産業ではなく、まず海外、それもアジアの企業になってくるはずだ。

瀧定大阪さん、瀧定名古屋さんは、分社化、そして自社内の課同士の競争原理を働かせて健全さを保っておられる方だとは思うが、流通を活性化する展示会ビジネスの仕組みがあった方が、両社のためにもなると私は思うんですよね。

特に、あまりにもテキスタイルの商売が期近、期近になりすぎているので。マーケット・イン志向の強い日本のアパレル相手ではなく、海外のラグジュアリーブランドに採用されるような高付加価値のテキスタイルを開発するには、それなりの時間と経費もかけ、自らトレンドを創出するような動き方が必要となってくるはずなのだ。

JCは、そういうクリエイティブ・アウト型ビジネスの場として、コンバーター業界のガリバー企業の存在とはまた別個に、存続しうるものだと私は思うのである。

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最終更新日  2005年12月10日 22時57分33秒
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